日仏で大規模ロケを敢行。3年越しの夢を叶え、“縁を結んだ”「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」

シリーズ累計発行部数1億2千万部超を誇る荒木飛呂彦による大人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」からスピンオフした傑作漫画を、高橋一生の主演で実写化して大きな反響を呼んだテレビドラマ『岸辺露伴は動かない』。その制作チームが再結集し、2009年にフランス・パリのルーヴル美術館のバンド・デシネ(フランスの漫画)プロジェクトのために描き下ろされた、荒木飛呂彦初のフルカラーコミックを実写映画化するべく、日仏で大規模ロケを敢行。観客動員数約90万人超、興行収入約12.5億円超えの大ヒットを記録した劇場長編映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」のBlu-rayとDVDが、7月26日に発売される(レンタルは7月3日リリース)。今年5月には、ドラマ『岸辺露伴は動かない』の新作エピソード「密漁海岸」もNHK総合で放送され、それからまもなく、岸辺露伴役を演じた高橋一生と露伴の編集担当・泉京香を演じた飯豊まりえが、結婚を発表したことでも話題沸騰となっている。本作の魅力と、Blu-ray&DVDの豪華版に収録される特典映像をご紹介したい。


「この世で最も黒く、最も邪悪な絵」に秘められた真相と露伴のルーツを巡る物語

「人を『本』にして、その人物の『人生』を文字で読む」という特殊能力を持つ漫画家・岸辺露伴は、新作を執筆する過程で、青年時代に淡い想いを抱いた年上の女性・奈々瀬から聞いた「この世で最も黒い絵」のことを思い出す。現在、その絵がルーヴル美術館に保管されていることを知った露伴は、取材とかつてのかすかな慕情のために、担当編集の泉京香と共にパリへと向かう。ルーヴル美術館に到着した露伴と泉は、美術館職員のエマ・野口の案内のもと、「黒い絵」の取材を進めるが、不思議なことに関係者の誰もがその絵の存在を知らず、データベースでヒットした保管場所は、今はもう使われていないはずの地下倉庫「Z-13倉庫」だった。そして、「この世で最も黒く、最も邪悪な絵」が引き起こす、想像を絶する恐ろしい出来事に対峙した露伴は、思いがけず、自らのルーツとも向き合うこととなる——。

ドラマ版から引き続き、高橋一生と飯豊まりえの二人が、噛み合っているようで噛み合っていない “露伴先生”と“泉くん”を絶妙なコンビネーションで巧みに演じているほか、映画版のキャストとして、露伴の祖母役の白石加代子や、東洋美術のキュレーター役の辰巳隆之介役の安藤政信、フランス語の通訳も担うエマ・野口役の美波らが登場。さらに、かねてより「ジョジョ好き」を公言していた、なにわ男子の長尾謙杜が、“漫画家前夜”のナイーヴな17歳の露伴に扮し、若き露伴が淡い想いを寄せる謎めいた黒髪の女性・奈々瀬を、木村文乃が妖艶に演じている。江戸時代の絵師・山村仁左右衛門のキャスティングにも、要注目だ。

露伴が美術品オークションに参加して、フランス人画家モリス・ルグランが描いた「黒い絵」を競り合った末に落札するも、何者かにその絵が狙われる……など、映画オリジナルのエピソードも物語の伏線として組み込まれるが、気品とグロテスクさを併せ持つ原作の世界観を、出来る限りアナログ的な手法でリアルに落とし込んでいくスタイルは本作でも変わらない。

トレードマークとなる黒のレザーヘアバンドに、ペン先を模した革靴姿の露伴と、スタイリッシュな黒のレザーのドレスを纏った京香も、フランスの街並みに自然と溶け込む一方で、たとえ江戸時代まで一気に時代が遡ろうとも、違和感なく観られてしまう和洋折衷の妙。ドラマ放送時から大いに話題となった露伴が暮らす邸宅(葉山加地邸)や、青年期の露伴が過ごした祖母が管理する元旅館の風情ある下宿アパート(東山温泉向瀧)。そして美術オークションの会場となった横浜ホテルニューグランドなど、魅力的なロケ地にも目を奪われる。


日・仏ロケに完全密着! 制作チームのこだわりが伝わる貴重な映像特典

7月26日にリリースされるBlu-rayとDVDの豪華版には、映像特典として、日仏ロケに長期密着したメイキング映像や、映画完成報告イベント、公開記念舞台挨拶に加え、高橋一生、飯豊まりえ、木村文乃、長尾謙杜のインタビューも収録。さらに、初回限定生産特典として、特製ブックレットやアクリル製ポストカードスタンド、ポストカード2種セットも封入されるほか、豪華版・通常版共に、高橋一生、飯豊まりえ、木村文乃、渡辺一貴監督による、本音と撮影裏話が満載のオーディオコメンタリーも収録されているというから、必聴だ。

1時間48分にも及ぶ長尺のメイキング映像では、日本とフランスでの撮影の舞台裏がふんだんに記録されており、それぞれのキャストの素顔も垣間見ることができるのが興味深い。なかでも特に印象に残ったのは、“ヘブンズ・ドアー”で顔が本になった状態の木村文乃が、「やっと仲間入りできた感覚」と喜んでいるシュールな光景や、祖母役の白石加代子のクランクアップを聞きつけた長尾謙杜が、ロケ地である旅館のなかを右往左往して駆けつける微笑ましい姿。2階建てバスの中からパリを観光するシーンでは、凱旋門の周りを約50周して撮影したことや、クライマックスで写真のなかに登場する「京香が5歳の時に亡くなった父親」は、実は渡辺一貴監督が演じているというのも本作におけるトリビアと言えるだろう。

映画撮影のために貸し切りにされたルーヴル美術館の中の「モナ・リザ」の絵の前で実施したインタビューにおいて、高橋一生が、かつてNHKの大河ドラマ『おんな城主 直虎』で1年間を共に過ごした渡辺監督と、3年前に『岸辺露伴は動かない』でふたたびタッグを組む際、「ルーヴル(へ行く)がやれたらいいね」と話していたことがついに現実になり、「監督やスタッフとの3年の歩みを考えざるを得ない」と感慨深げに振り返る姿にも心打たれた。

菊地成孔&新音楽制作工房による音楽や、人物デザイン監修・衣裳デザインの柘植伊佐夫による造形。礒貝さやかによる美術など、「岸辺露伴~」の制作チームのこだわりの仕事ぶりを、メイキングやインタビュー映像のなかで出演者たちが語るコメントを通して知り、観直すたび新たな発見ができるのも、Blu-ray&DVDならではの楽しみ方であると言えるだろう。原作を心から愛する人たちが、それぞれの持ち場でクリエイションを最大限に発揮し、魂を込めて作り上げていることが手に取るように伝わってくる、充実した特典となっている。

 

 

文=渡邊玲子  制作=キネマ旬報社


「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」

●Blu-ray& DVDは7月26日発売(レンタルは7月3日リリース)
Blu-ray& DVD詳細情報こちら


・劇場版 岸辺露伴 ルーヴルへ行く 豪華版(初回生産限定) Blu-ray 価格:12,980円(税込)
劇場版 岸辺露伴 ルーヴルへ行く 豪華版(初回生産限定) DVD 価格:12,980円(税込)
【ディスク】<3枚組>
★特典★

【映像特典】
超特報、特報、15秒スポット(露伴の過去編)、15秒スポット(黒い絵の謎編)、本予告30秒&60秒、メイキングPV、60秒でわかる岸辺露伴の世界、出演者インタビュー、映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」完成報告イベント(登壇者:高橋一生、飯豊まりえ、長尾謙杜、安藤政信、渡辺一貴監督、ビデオメッセージ:木村文乃)、日本最速!先行上映会(登壇者:高橋一生、渡辺一貴監督)、公開記念舞台挨拶(登壇者:高橋一生、飯豊まりえ、長尾謙杜、美波、渡辺一貴監督、リモート参加:木村文乃、)メイキング映像集(各地国内、パリで撮影)
【封入特典】
特製ブックレット、アクリル製ポストカードスタンド、ポストカード2種セット
【音声特典】
映画本編オーディオコメンタリー(高橋一生、飯豊まりえ、木村文乃、渡辺一貴監督)


・劇場版 岸辺露伴 ルーヴルへ行く 通常版 Blu-ray 価格:5,500円(税込)

・劇場版 岸辺露伴 ルーヴルへ行く 通常版 DVD 価格:5,500円(税込)
【ディスク】<1枚>

★特典★【映像特典】
超特報、特報、15秒スポット(露伴の過去編)、15秒スポット(黒い絵の謎編)、本予告30秒&60秒、メイキングPV、60秒でわかる岸辺露伴の世界
【封入特典】
特製ブックレット
【音声特典】
映画本編オーディオコメンタリー(高橋一生、飯豊まりえ、木村文乃、渡辺一貴監督)


●2023年/日本/本編119分
●原作:荒木飛呂彦「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」 (集英社 ウルトラジャンプ愛蔵版コミックス 刊)
 監督:渡辺一貴
 脚本:小林靖子
 音楽:菊地成孔/新音楽制作工房
 人物デザイン監修・衣裳デザイン:柘植伊佐夫


●出演:高橋一生、飯豊まりえ、長尾謙杜、安藤政信、美波、木村文乃

●発行・販売元:NHKエンタープライズ
©2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

 

 

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