シリーズ最大の事件が起きる、まさかの映画化第2弾「映画 THE3名様 Ω~これってフツーに事件じゃね ?!~」

2022年に初めて劇場公開した「THE3名様~リモートだけじゃ無理じゃね?~」で、12年ぶりに復活した実写版『THE3名様』シリーズ。石原まこちんの人気漫画を実写化した同シリーズは、佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史の演じる親友フリーター3 人組が、深夜のファミレスでただひたすら他愛もない雑談をするだけのゆる~いシチュエーションコメディ。2005年に誕生して以来、その脱力感あふれる会話劇は一度見ると癖になり、根強いファンを持つ。そのまさかの映画化第2弾となる待望の最新作「映画 THE3名様 Ω~これってフツーに事件じゃね?!~」が、8月30日より全国公開される。

佐藤隆太×岡田義徳×塚本高史×福田雄一が組んだDVDシリーズとしてスタート

まずは改めて『THE3名様』についておさらいすると、原作漫画は石原まこちんが2000年より連載開始。日常系漫画の先駆け的作品ともいわれており、中断期間を挟んだり掲載媒体を変えつつも連載中で、現在はシリーズ最新作『THE3名様Ω』がLINEマンガで配信されている。そして、実写版シリーズは、原作ファンだった佐藤隆太が、『木更津キャッツアイ』シリーズ(02~06)や映画「ROCKERS」(03)などの共演者で親交も深い岡田義徳と塚本高史との3人で映像化してほしいと、「ROCKERS」のプロデューサーだった森谷雄に直談判したことをきっかけに、2005年からDVDオリジナル作品としてスタートした。

物語は、いつもフライドポテトを注文する漫画家志望の“ジャンボ”(佐藤隆太)、年中変わった半袖Tシャツを着たマイペースかつ奇行の多い“まっつん”(岡田義徳)、派手なファッションで流行に敏感なつもりの口だけ番長的な“ミッキー”(塚本高史)という、大人になりきれないフリーターの同級生3人が、深夜のファミレスでただ話しているだけの日常を切り取った会話劇。同じファミレス内だけで展開する各話数分程度の一話完結のショートストーリー集で、店員(安藤玉恵、小林大介)や常連客のパフェおやじ(志賀廣太郎)なども登場する。

他人にはどうでもいい友人同士の深夜の雑談を切り取ったような物語だが、その気さくで何気ない会話劇は、一緒に同席して“地元のツレとダベってる”かのような親近感や、隣の席からニヤついて覗き見しているような感覚が楽しめ、多くの根強いファンに支持された。監督・脚本は福田雄一が務め、2009年には実写版と同キャストが声優を務めたアニメ版も製作。当時の福田は脚本家としての活動も始めていたが、主に構成作家として活躍していた時期で、同シリーズは映像作品として福田の初監督作となった。主要スタッフ&キャストたちの出世作の一つでもあり、皆が思い入れの強い作品のようだ。

12年ぶりに復活した映画前作がまさかの大ヒット

約5年にわたって毎年1~3本の新作DVDをリリースしたが、キャスト陣だけでなくスタッフの福田も多忙となり、スケジュール調整が困難で一時休止。しかし、プライベートでも仲の良い佐藤、岡田、塚本の3人は常々またやりたいと話していたそうで、2020年10月に塚本の誕生日を佐藤と岡田の3人で祝った際に盛り上がり、これが最後のチャンスかもしれないと森谷にシリーズ再開を相談。佐藤らが“ボス”と慕う福田はスケジュール的に参加できなかったものの、脚本執筆を実写版への愛情も深い原作者の石原に依頼し、監督は演出経験もあるプロデューサーの森谷が兼任して、ちょうど塚本の誕生会の1年後に撮影されたのが、前作「THE3名様~リモートだけじゃ無理じゃね?~」だった。同作はコロナ禍のため、zoom で佐藤、岡田、塚本も参加したオンライン・ミーティングを何度も重ね、徹底的に話し合って制作。2022年4月8日より初の劇場公開作品として1週間限定上映の予定だったが、好評につき上映期間が何度も延長され、小規模公開ながらスマッシュヒットを記録した。

以前とは座席や天井の高さの違いなどよる画作りの変化があったり、店内ではタバコが吸えなくなったことなど、時代の変化や流行もエピソードの一つにとりあげ、内容は現代的にアップデート。しかし、やっていることはいい意味でくだらなくて変わらず、楽しさや魅力はそのまま。長期シリーズならではの意外な感動も味わえ、シリーズファンにはたまらない作品となっていた。前作までのシリーズ Blu-ray&DVD の累計販売数は、2024 年 4 月時点で34 万枚を超えており、大ヒットシリーズといえる。

最新作は驚くこと間違いなしの豪華ゲストが初出演する“SF映画”

そして前作映画の打ち上げで、佐藤たちから「連ドラにしたい」という新たな目標があげられ、今回もキャスト3人が意見を出し合って制作。最新シリーズのドラマ版『THE3名様Ω』を2024年5月24日よりFODで配信開始し、7月24日からはフジテレビの深夜ドラマとしても地上波放送されている。そうして8月30日より劇場公開されるのが、ドラマ版とは異なる完全新作の「映画 THE3名様 Ω~これってフツーに事件じゃね?!~」。まさかの映画化第2弾となるが、前作は69分の中編で期間限定公開のイベント上映的作品だったが、最新作はタイトルに「映画」と冠されているように、初めて本格的な映画として制作された83分の長編になった。

いつものように 3 人がダラダラとファミレスで過ごすのは変わらないが、伏線があったり画作りにこだわっていたりなどに加え、タイトル通りにシリーズ史上最大のかつてない大事件が大スクリーンで勃発。隕石接近に始まり、招かれざる客がいつものファミレスで本当の事件まで起こしてしまう、“SF(すごいファミレス)映画”となっている。また、遂に100話超えを達成した同シリーズは、短いエピソードの連作集で、気楽なショートコンテンツかつ日常系の先駆的作品。現代にもマッチした作品といえ、何度見てもニヤニヤしてしまうような中毒性や心を穏やかにする不思議な脱力感もあり、そのゆるさには癒される心地良さがある。メディアを問わず誰もが気軽に楽しめて、初見でもハマる人が多いだろう。

今回もプロデュースと監督は森谷雄、脚本は原作者の石原まこちんと森谷が共同で担当。主演3人はもちろん、ファミレス店員役の安藤玉恵&小林大介のレギュラー陣と、前作から店員役に加わった桃月なしこも出演する。そして、今回最大の目玉が豪華なゲスト俳優。8月14日に行われた完成披露上映会の舞台挨拶で、佐藤・岡田・塚本の3人が「これまでも多くの俳優仲間から出演したいと言ってもらえることは多かったが“あなたの経歴に傷がつく”と丁重にお断りしてきた」と話して会場を笑わせていたが、今回はまさに“事件”といえる豪華ゲストが遂に初登場。知らずに見ると、驚きと納得で興奮すること間違いなしなので、ぜひゲスト情報をシャットアウトして見てほしい。佐藤、岡田、塚本の3人が本当に楽しみながら愛情たっぷりに作り上げており、今まで通りでありながら、今までと違った『THE3名様』も同時に楽しめる作品となっている。

 

文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社


「映画 THE3名様Ω~これってフツーに事件じゃね?!
~」

8月30日(金)より 新宿バルト9ほか 全国順次公開
2024年/日本/83分  

プロデュース&監督:森谷雄
原作&脚本:石原まこちん ※「THE3 名様Ω」(LINE マンガ連載中)

出演:佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史、小林大介、桃月なしこ / 安藤玉恵

配給:ポニーキャニオン
Ⓒ2024「THE3 名様Ω」Partners ⒸMakochin Ishihara
公式HP:https://the3youngmen-omega-movie.com/

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