二転三転する物語にラストカットまで目が離せない、内田英治監督によるオリジナルの新感覚サスペンス・スリラー「マッチング」

いまや出会いの手段として広く普及した“マッチングアプリ”。そこで最愛の人や人生の伴侶を見つける人も多いが、見知らぬ人と出会うだけに、予測のつかないトラブルが起きる可能性がある。そんなマッチングアプリで狂気のストーカーと出会ったことから始まる、現代的な恐怖を描いた新感覚サスペンス・スリラー「マッチング」のBlu-rayとDVDが、9月20日(金)に発売された(レンタルは9月4日よりリリース中)。

 

「ラスト1秒、あなたの愛が反転する。」に偽りなしの衝撃作

アラサーのウェディングプランナーの唯島輪花(土屋太鳳)は、仕事面は充実している一方、恋愛には奥手で彼氏はおらず、最近も高校時代に憧れていた片岡先生(瀧川鯉斗)の結婚式を担当するなど、他人の幸せを見送るばかりの日々を過ごしていた。そんな輪花を見かねた親友で同僚の伊藤尚美(片山萌美)は、輪花にマッチングアプリ“Will Will”の登録を勧める。結婚した片岡先生も出会いはマッチングアプリだったことから、試しに登録してみた輪花は、マッチング率97%の相手とデートすることになる。

しかし待ち合わせ場所の水族館に現れたのは、プロフィールとは別人のような永山吐夢(佐久間大介)だった。彼は遅刻してきたばかりか、出会ってすぐに「僕は不運な星のもとに生まれてきたんです。生まれてすぐに駅のコインロッカーに捨てられていたんです」と、激重な身の上話を披露。ロングコートの黒ずくめで、足元はゴム長靴という異様さにもドン引きした輪花は、早々にデートを切り上げる。しかし、この日を境に輪花の生活が一変。吐夢から「次いつ会えますか?」と、スマホの通知が鳴りやまないほどの連絡が来て、恐怖を感じてしまう。

ちょうどその頃、輪花の勤務先のナガタウェディングとWill Willは合同企画を進めていたことから、輪花はWill Will運営会社のプログラマーの影山剛(金子ノブアキ)に相談。吐夢が他社のアプリでも問題を起こしていることを教えてくれるなど、親身に相談に乗ってくれて、輪花と影山は急接近していく。一方、同じ頃、“アプリ婚”した夫婦が惨殺される悲惨な事件が連続発生し、世間を騒がせていた。それはWill Willで結婚した人も含まれ、さらには片岡先生ら、輪花の担当したカップルまでが殺され、事件の魔の手は次第に輪花の身にも迫ってくる。そして、家族や友人、輪花を取り巻く人物たちの知らなかった“本当の顔”までが次々に明かされていく……。

各キャラクターの生い立ちや設定にも伏線が張り巡らされ、二転三転する予測のできない展開を見せる本作。それだけに明かせないことも多いが、何が真実で、誰が味方かわからぬまま、次々とハイテンポで起きる衝撃の展開には、心を揺さぶられるスリルとサスペンスが楽しめる。「ラスト1秒、あなたの愛が反転する。」という劇場公開時のキャッチコピーに偽りなしの、ラストカットまで目が離せない、恐怖と衝撃がノンストップで連続する作品となっている。

 

土屋太鳳×佐久間大介×金子ノブアキ×内田英治

主人公・輪花役には、NHK連続テレビ小説『まれ』で主演を務めるなど、様々な映画・ドラマで活躍する土屋太鳳。輪花は、母親が幼い頃に失踪し、父・芳樹(杉本哲太)と二人で、実家で暮らしている。輪花は吐夢とアプリで出会ってから日常が一変し、次々と不幸が身に降りかかり、家族の秘密まで知らされることになる。様々な情緒の激しいリアクションを求められ、暗く厳しい表情も多い役だけに、土屋は精神的にかなり身を削られたそうだが、現場自体の明るさや雰囲気の良さに助けられ、演じ切ったそう。笑顔の少ない役だが、土屋の芯の強さや美しさが際立つ役ともなっている。

輪花とアプリでマッチングする“狂気のストーカー”吐夢役には、本作が初の実写映画単独出演となる Snow Manの佐久間大介。演技経験は多くないが、特徴的な高い声や笑顔を封印し、バラエティ番組などで見せるアイドルの顔とは全く異なる新たな顔を見せている。ストーカー役というだけでも意外性があるが、謎の多い人物を新鮮に演じており、独特の雰囲気を纏ったその佇まいは、出てくるだけで目を引く魅力があり、静かな狂気も感じさせる。佐久間自身のコメントによると「世界一、静かな佐久間が見られる」のも見どころのようだ。

輪花を助けるマッチングアプリ運営会社のプログラマーの影山役は、ミュージシャンとしても活躍している金子ノブアキ。俳優としてはNetflixドラマ『今際の国のアリス』でも土屋と共演している。金子は、オシャレな大人の雰囲気もありながら、素朴さや誠実さを感じさせ、さらには秘めたものもある複雑な役を好演。初共演の佐久間とは、かなり意気投合したようだ。

さらには、斉藤由貴、杉本哲太、真飛聖、後藤剛範、片岡礼子ら実力派キャスト陣に、片山萌美、永瀬莉子、円井わん、前原滉といった注目の若手キャスト陣や、イケメン落語家の瀧川鯉斗など、多彩なキャストが脇を固めている。

原作・脚本・監督を務めるのは、映画『ミッドナイトスワン』(20)で、第 44 回日本アカデミー賞最優秀作品賞や第 23 回ウディネ・ファーイースト映画祭コンペティション部門でゴールデン・マルベリー賞を受賞するなど、国内外の映画祭で受賞が相次ぎ評価を高めている内田英治。本作は内田のオリジナル脚本だが、劇場公開直前に原作として内田自身が書き下ろした小説版も刊行されており、こちらも10万部を突破するベストセラーとなっている。

 

重要なネタバレも明かされているメイキングなど充実の特典映像

9月20日(金)にリリースされたBlu-rayとDVDの豪華版には、本編ディスク以外に2枚の映像特典ディスクと、限定封入特典(特製ブックレット、ミニクリアファイル、ポストカード)がセットになっている。2枚の映像特典ディスクには、土屋×佐久間×金子×内田監督によるビジュアルコメンタリーに加え、メイキングや舞台挨拶などのイベント映像集を収録。作品によっては、映像特典ディスクはすべてDVDという場合もあるが、本作の豪華版は、映像特典ディスクもBlu-ray。映像特典までも高画質で楽しめるのは、購入者にとって嬉しいポイントだろう。

約60分のメイキングでは、撮影現場の様子や内田監督の演出風景、キャスト陣の現場コメントやオフショットなどを見ることができる。内田監督はキャスト陣と意見交換したり、コミュニケーションをとりながら演出しており、例えば、刑事(真飛聖)が吐夢(佐久間)の仕事場に話を聞きに来た際は、内田監督が「もうちょい八百屋っぽく」と真飛に演出。真飛は、元々ちょっとユルめの庶民っぽい刑事をオーダーされていたそうだが、「八百屋っぽく」という追加の難題に「もっと八百屋……」とつぶやきながら苦笑い。その場にいた佐久間が「八百屋?(笑)」と何度もツッコみ、内田監督が「もっと雑な感じ」とにこやかに補足すると、真飛もようやくニュアンスが掴めたようだ。気さくで明るく良い空気感の中で撮影されていた様子がわかる。

待ち時間などに、土屋と佐久間がメイキングのカメラに向かってサービスする様子やおどける様子も収められており、ヘビーな展開や恐ろしいことが起きる作品内容とは真逆の明るく楽しい現場だったことが伝わってくる。また、本編より先にメイキングを見る人は少ないと思うが、このメイキングにはかなりのネタバレもあるので、必ず本編鑑賞後に見て欲しい。本編冒頭の描写が誰なのかなど、劇中ではあえて明確にしていなかった、結末の解釈にも関わるような重要なことをサラリと明かしているところもある。本編自体が、結末を知った後に見直すと初見とは違った見方ができる面白さがあるが、映像特典を見た後に見直しても、また新たな発見ができる作品だ。

文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社


『マッチング』

●9月20日(金)Blu-ray&DVDリリース

●Blu-ray豪華版 価格:9,020円(税込)
【ディスク】<3枚組(本編ディスク1枚+特典ディスク2枚)>
●DVD豪華版 価格:7,920円(税込)
【ディスク】<3枚組(本編ディスク1枚+特典ディスク2枚)>

【Blu-ray&DVD豪華版共通】
★映像特典★
・ビジュアルコメンタリー(出演:土屋太鳳 × 佐久間大介× 金子ノブアキ+内田英治監督)  
・メイキング
・イベント映像集
・予告編集

★封入特典★
・特製ブックレット
・ミニクリアファイル
・ポストカード

●DVD通常版 価格:4,400円(税込)
【ディスク】<1枚組(本編ディスク1枚)

●2024年/日本/本編100分
●監督・脚本:内田英治
●原作:内田英治『マッチング』(角川ホラー文庫刊)
●共同脚本:宍戸英紀
●音楽:小林洋平
●主題歌:Aimer「800」(SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc.)

●出演:土屋太鳳、佐久間大介、金子ノブアキ、真飛聖、後藤剛範、片山萌美、片岡礼子、杉本哲太、斉藤由貴 ほか

●発売・販売元:KADOKAWA
©2024『マッチング』製作委員会

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