池袋を映画の街として盛り上げていく
- 天気の子 , グランドシネマサンシャイン
- 2020年09月04日
グランドシネマサンシャイン開館一周年
地下2階地上14階建ての複合ビル 「キュープラザ池袋」内に誕生したシネコン「グランドシネマサンシャイン」が7月19日に開館1周年を迎えた。全12スクリーン、全2443席のシネコンは日本最大スクリーンサイズのIMAX(R)レーザー/GTテクノロジーシアターをはじめ、日本初の「4DX SCREEN (旧4DX with Screen X)」シアターなど映像、音響ともに最高レベルの設備が充実。多くの映画ファンが「映画を観るのなら、この劇場で」とエリアを問わず足を運んでいる。
座席 プレミアムクラス
同館が誇るIMAXシアターのスクリーンは 縦横の最大値 18.910m×25.849m。 その面積は「109シネマズ大阪エキスポシティ」(18m強×26m強) を上回り、常設の商業用映画館として日本最大となる(日本ジャイアントスクリーン協会・IMAX・佐々木興業調べ)。「IMAX はもちろん、大きな売りですが、シネマサンシャイン、オリジナルの劇場規格BESTIA(ベスティア)もSNSで広がり、認知が高まったという手応えがあります」。こう話すのは支配人の森内裕貴さんだ。
常設の映画館では日本最大の「IMAX(R)レーザー/GTテクノロジーシアター」
BESTIAは、最新のレーザープロジェクションシステムと3D音響が一体となり、観客が映画の中に入ったような一体感を味わうことができる次世代の映画館フォーマット。シアター5(346 席+車椅子席2)、シアター6 (235席+車椅子席2)に採用されている。
独自の映像・音響フォーマット「BESTIA」
1年間の成績は動員117万6653人、興収20億8589万3130円(2019年7月18日~2020年7月18日※オープン前夜祭成績を含む)。
「当初の目標は200万人、30億円。コロナ禍がなければ、目標に近づけたと思っていますので、正直悔しさはありますね」と森内さん。ここに新型コロナウイルスの影響の大きさが見て取れる。緊急事態宣言下での2カ月弱の営業自粛、解除後も公開延期作が相次ぐ中、定員を半分以下に制限しての営業。7月上旬には池袋のホストクラブでのクラスター報道もあった。「厳しい状況は続いていますが、お客さまの多数の支持を受けたことを自信に、通常営業の再開に向け、努力していきたい」と話す。同館では消毒、換気など徹底したコロナ対策を行っている。「従業員本人やその家族に感染疑いが出た時点で、出勤停止を指示しています。映画館は常時、十分な換気を行っていますので、いわゆる3密の一つ、密閉空間ではないことはお客様に知っていただきたい」。
年間の興収ベスト3は1位「天気の子」 (約2億円)、2位「ジョーカー」(1億3千万円)、3位「アナと雪の女王2」(約1億円)と、IMAXでの上映作品が強いのが特徴だ。池袋が舞台の一つとなった「天気の子」をめぐってはスタッフが歓喜する出来事もあった。新海誠監督は今年5月のDVD&ブルーレイ、デジタル配信の際に、製作時になかった同館を描き足したことを Twitterで明かしたのだ。これは、新海監督が同館を気に入った証だろう。
グランドシネマサンシャインの登場は、 映画ファンの流れを池袋に引き込む変化を及ぼした。「各線が発表している乗降客数によれば、2019年度の1日の平均乗降客数は新宿(約375万人)、池袋(約269万人)、と池袋は新宿の約7割です。しかし、新宿は3つのシネコン(TOHOシネマズ新宿、新宿バルト9、新宿ピカデリー)、その他を合わせて年間興収100億円、それに対して、池袋はグランドシネマサンシャインのオープン前は池袋全体で約30億円と3割しかなかったのです」と話すのは専務取締役の佐々木武彦さん。
池袋の東口エリアには池袋HUMAXシネマズ(全6スクリーン、全1464 席)がある上、今年7月3日にはTOHOシネマズ池袋(全10スクリーン、 1735席)がオープン。さらなるライバルの登場をどう見ているのか。佐々木 さんは「TOHOシネマズさんは業界最大手ですし、今回非常にいい劇場を作ら れ、これから競争していく相手としては大変な強敵であると思っております。た だ、新たな劇場の登場によって、池袋が他の街に対して競争力を持ち、お客さんが集まってくれるのは歓迎すべきことだと考えています。実際、7月以降、池袋全体の観客動員は新宿の5割を超える数字になっていると見ています。また、豊島区もグランドシネマサンシャインのあるサンシャイン通りの歩道を整備するなど今までサンシャイン60通りだけに集中していた、いわゆる線としての人の流れを、サンシャイン60通りと並行する通りや交差する通りの面として広げる考えを持っており、当館としてもその一翼を担っていきたいと考えています」と話す。
また、オープン当初から会員制度やネット予約環境の充実にも力を入れており、来場者の6割以上がネット予約だ。 森内さんは「うちを選んでくれる方は映画館の設備で選んでくださる方が多いと感じています。アニメファンからも上映のリクエストをいただいていますが、一番多いのは洋画ファンの方ですね。そんな中、コロナの影響でハリウッド大作が公開延期になっている現状には厳しい面もあります」と苦しい胸の内を明かす。
目下、大きな期待をかけているのは、 クリストファー・ノーラン監督のタイムサスペンス大作「TENET テネット」(9月18日公開)だ。同館では7月10日からノーラン監督の過去作4作を連続上映。「ダークナイト」(08年)のIMAXフルサイズ初の日本上映と「TENET テネット」のプロローグ上映が話題に。
「ダークナイト」は全国約100スクリーンで上映される中、全体の16%以上の興収を上げた。森内さんは「第2弾は『ダンケルク』、第3弾の『インセプション』は日本初の4DX上映もありますし、 IMAXはデジタルリマスター版となっています。普段はCSの映画チャンネルやストリーミングサービスで映画を見る方も、大スクリーンで映画館ならではの迫力を体験していただきたいですね」と話している。
日本初の「4DX Screen」
取材・文 = 平辻哲也
【グランドシネマサンシャイン公式HP】
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https://www.cinemasunshine.co.jp/theater/gdcs/