「運命の皮肉」のストーリー

ジェフリー・ハッチンスという青年画家の描いた「怖ろしき喜劇役者」という絵が展覧会で入選したとて大評判。今しも進行中の列車中で老牧師と中年の紳士とがその絵について語り合っている。紳士は次のような長物語を牧師にする--女優マリー・ラモントは愛する娘ドロシーには汚れ果てた女優生活の裏面を知らせまいと、幼い頃から修道院に入れて、己れは娘の学資を得るために心にもない男に身を任せてまでいた。ドロシーが卒業して帰宅するといってきた時、マリーの旦那なるマーティンは彼女を引き取ることを拒むので、娘可愛さからマリーは彼と手を切り、再び舞台へ立つ事にして、貧しいながら幸福な家庭を作った。しかしその喜びもつかの間ドロシーが浮気者のマーティンに見そめられ母と同じ運命に陥ろうとしたのでマリーは拳銃を放ってマーティンの度肝を抜き、かくしてドロシーをこの画の筆者なるジェフリーと結婚させたのであった。マリーのその後の消息は知らず、浮気男のマーティンは今なお独身で暮らしているとか--それが紳士の物語であった。