「エルネスト 美しき少年」のストーリー

オーストリア=ハンガリー帝国のトリエステ。1911年。穀物商に勤める青年エルネスト(マーティン・ハルム)は17歳。彼は母(ヴィルナ・リージ)と二人で伯母の所に同居しており、将来彼を実業家にしようとしている伯父の希望で今のような仕事をしているが、彼のなによりの夢はバイオリニストになることだった。ある日、エルネストは、波止場の食庫で一人の人足(ミケーレ・プラチド)と知り合った。彼は美しいエルネストに興味をもち、仕事の後で会うことを希望した。その誘いを素直に受けたエルネストは、仕事を終えて約束の場所に行った。そこで初めて同性から愛を囁かれ肉体を与えるエルネスト。この関係がしばらく続いた後、彼は突然仕事をやめバイオリンに情熱を向けた。そして、あるバイオリンの演奏会で、彼は美少年イリオ(ララ・ウェンデル)と知り合う。今度は、エルネストがイリオを求めた。バイオリンを教えながらエルネストがイリオとキスを交わした時、そこにイリオの双子の妹であるレイチェル(ウェンデル二役)が入って来た。とまどうエルネストだったが、ノーマルな男女の愛情にも興味を感じはじめた。裕福な家柄であるレイチェルとの結婚。それはエルネストの母や周囲の者たちをよろこばす事でもあった。婚約式の日、馬車で会場に向かうエルネストを見つめる者がいた。彼を今でも慕っているあの人足だった。ブルジョワたちが祝福にかけつける会場で、エルネストは少し不安だった。このまま大人の世界に入っていくのだろうか、バイオリニストへの夢はどうなるのか……。そのときに、伯父のワイルダー(トゥリ・フェロー)が囁いた。「バイオリンはいつでも弾けるさ」-―。