「これからの人生」のストーリー

ユダヤ人、アラブ人、黒人がひしめきあっているパリのベルビル地区。みすぼらしい一軒のアパートでパリの娼婦たちの子供をあずかって暮しをたてているローザ夫人(シモーヌ・シニョレ)はユダヤ人で、60代も半ばを越えていた。ローザ夫人が面倒を見ている子供たちの中にはさまざまな人種の者がいて母親からの養育費がとだえてしまった子供もいた。そのうちの一人でモモの愛称で呼ばれているモハメド(サミー・ベン・ユーブ)は最年長の14歳でアラブ人だった。ある日、親切な老医者(クロード・ドーファン)にローザの健康状態が心配だと聞かされたモモは、自分が金を稼いで家計を助ける決心をした。小銭かせぎに街を歩きまわっていたある日、モモは、美しい女性ナディーヌ(M・B・アダム)と出会う。彼女は、人形芝居に涙ぐんでいるモモの姿に感動し、自分の住所を書いた紙きれをモモに渡した。一方、ローザの病状は悪化していたが入院することを拒んでいた。彼女にはいま住んでいる部屋とは別に、もう一つ秘密の部屋があり、その“ユダヤ人の部屋”は、モモだけが知っていた。ある日、モモの父親カディール(モハメド・ジネス)が現われ、自分が、娼婦だった妻を殺し、異常者として精神病院に収容されていたことを明かした。しかし、興奮したカティールは発作を起こし、その場で息を引きとってしまう。ローザを入院させようと訪れた老医者をうまく騙し、ローザを地下の“ユダ人の部屋”に連れていったモモは、そこで一睡もせずに看病にあたるが、ローザは遂に永遠の眠りについてしまう。近所の人々がドアを破って入った時、そこには熱に浮かされているモモの姿があった。