「極楽ホテル」のストーリー

一九四〇年、フランスは崩壊、イタリアが参戦するに及んで北アフリカにも戦雲がたなびいたが、砂漠の中にぽつんと立つ豪華な“ホテル・サハラ”では、経営主エマッド(ピーター・ユスティノフ)を始め、美しい婚約者ヤスミン(イヴォンヌ・デ・カーロ)、その母パラ夫人などが愛するホテルを戦火から守るべく、敢然その地に踏み止まった。最後の避難トラックと殆ど入れ違いに到着したイタリア軍の分遣隊、次いでドイツ軍、イギリス軍、フランス軍--日々の戦局次第で入れ替り立ち替る各国軍の応接に彼らはくたくたとなる。エマッドは両陣営の猛者が今にも鉢合せしそうな毎日に気をもみ通しなばかりか、ヤスミンが各国士官にふりまく愛嬌を、ホテルを守るためとは承知しつつ苦痛なしでは眺められない。しかし幾度もホテルを爆破したがる各国兵を抑えているのはヤスミンに懐柔された士官達であった。たまたまドイツ軍が、その協力を求めるため附近のアラブ族酋長をホテルの一室に集めての饗宴の席に、英軍のスパイとして潜入してきたのは、ヤスミンにとりわけ首ったけのチェニー大尉(デイヴィッド・トムリンソン)だった。彼はアラブの珍味--羊の眼玉が食べられず、偽酋長の化けの皮がはがれかけた所を、ヤスミンの奇智によって救われた。待ちに待った停戦の報は、ホテルの娯楽室で遂に顔を合せた英独両軍が大激闘を始めかかった途端に至り、間一髪でホテルは戦火を免れた。ヤスミンの大胆な恋愛操縦術にお冠りだったエマッドの眉は、始めて晴れた。

今日は映画何の日?

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