「街の仁義」のストーリー

一九三一年、経済恐慌のフランス。孤児のイーヴ(ジャン・ルイ・トランティニャン)は、少年刑務所を脱走、やっと今、自由の娑婆に出ることができた。パリに戻った彼は昔仲間のデデを頼ったが、不景気のパリには仕事もなく、彼を可愛がってくれるブラン(フェルナン・ルドウ)おじさんの酒場でトグロを巻く他なかった。酒場にはイーヴやデデ(ジャン・ガヴァン)の他、犬を盗んでは飼主に届け謝礼金をせしめるパオロとか、麻薬を扱う愚連隊などが集っていた。イーヴは、彼らの仲間に入りジョウ(レイモン・ペルグラン)の下で麻薬運びになった。イーヴとしては丁度その頃病気にかかったデデの薬代を稼ぐ積りもあった。が二人は更に貧乏に追われ、クリスマスの夜、一仕事するつもりが、かえって失敗、デデは警官に捕った。やがてイーヴは舞踏会でデパートの売子ゼット(J・アルノ)と知合い、二人の恋が始った。イーヴが修理工、土方と職あさりをしているうちにゼットとの恋も実り彼女に子供ができた。デデが出獄してきた。彼はナイト・クラブで働くことになり、かつて知合った娘のワンダ(シルヴァーナ・パンパニーニ)が今は唄い手となっているのに再会した。デデは彼女を愛していたが、恋仇としてジョウが現れ、女の心もジョウに傾いた。ジョウはデデの意趣晴しを恐れて彼を殺した。息を引取る寸前、デデはイーヴに下手人の名を告げたが仇は討たないでくれという。が、ジョウは更にイーヴを亡き者にするため、彼が脱獄者であることを密告しようとする。しかし、こうした街の仁義に背くようなことを快く思わぬ一味のマリオは、ジョウの企みをイーヴに知らせる。その日はイーヴが父親になる日だった。絶望した彼は拳銃をとった。しかし彼には事件が起らなかった。ブランおじさんがイーヴの身代りに、ジョウと会ってケリをつけた。再び刑務所に戻る心配のなくなったイーヴは、ゼットの生んだ子に堅儀の名をつけてやった。