「女と奇蹟」のストーリー

神の声を聞く奇蹟の乙女ジャンヌ・ダルク(ミシェル・モルガン)が、英国の占領からオルレアンを解放、救国の英雄と謳われたのも今は夢、パリを前に無残にも挫折した彼女が、国王にも見捨てられ、悲運に泣く一四三〇年の春である。もはや呼んでも神は答えずコンピエーニュへ向うジャンヌ・ダルクの行手には敗戦を物語る兵士の死体の群。近くにバレッタ大尉の一隊がいるのを知って元気づいたのも束の間、当のバレッタ大尉は、軍資金に事欠き、神のお告げも聞こえなくなった彼女を見捨て去る。四面楚歌のジャンヌ・ダルクのもとに過去の奇蹟と栄光を信ずる村人が、死んだ幼児の祈祷を頼みに来た。気のすすまぬジャンヌは渋々承諾したが、いざ祈ると幼児は蘇生、奇蹟は再現した。しかも一同の驚嘆の中に、神の声さえ聞えて来た。神の声はジャンヌに、あくまで戦えと命じたが、同時に彼女が敵中に陥ると予言した。だが聖女として回復したジャンヌは民衆の信頼に今は引くに引かれる身。彼女は運命の戦場コンピエーニュへと馬を進めて行った。