「お気に召すまま(1932)」のストーリー

イタリア陸軍大尉ブルーノ・ヴァレーリ伯爵は世界大戦のみぎり結婚したばかりの新妻マリアが敵兵に拉致されて行方不明になって以来淋しい孤独生活を送っていた。彼はマリアが生きているかの知れないという望みで、親友のトニイに捜索を依頼して、十年間他の女を顧みなかった。トニイはある夜ブダペストのカフェエで唄う女のザラに甞てのマリアの面影を見い出した。ザラは小説家ソルターの家に囲い者として彼の肉欲の犠牲となっている女であるが、大戦の犠牲者の一人で全然記憶を喪失しているのだった。トニイはザラを訪ねて貴女はマリアであると言い、夫ヴァレーリ伯爵の許に帰って呉と頼んだ。ザラはそれを信じ得なかったがソルターの犠牲となっているよりは、と思ってトニイと共に伯爵夫人マリアとして伯爵邸へ訪いた。伯爵ブルーノは彼女が果たして妻マリアであるか知るよしもなかったが、彼女の美しさは彼を虜とするに十分だった。ザラは自分がマリアであるとは考えられなかったが、伯爵の愛の深さにはほだされざるを得なかった。そして彼女も伯爵を愛し始め、マリアに成ろうと努力した。ソルターはザラを失って物狂おしくなり彼女を奪回しようと智恵をしぼった。彼はマリアの実姉モンタリ夫人を訪れて、妹の生存を怪しんでいる夫人に、マリアは偽者であると告げて共に伯爵邸を訪れる。ザラはソルターから数日すればマリアの失踪が満十年となり、法律上死者として遇せられ、伯爵所領は彼女の姉モンタリ夫人の所有に帰することになる旨を聞かされて、伯爵の自分に対する愛は不純で、所領を失いために自分をマリアとして愛するのではないかと疑う。しかし伯爵は財産のことは問題でないこと、彼女を愛することを誓う。するとソルターは真実のマリアを伴って来たといって一人の狂女を引き出す。彼女は召使いたちを知って居り姉君のモンタリ夫人をも知っている様子を見せた。付き添いの医師は彼女が最近記憶を回復しかけたことを告げる。しかしザラは召使いエッラの助けでこの狂女が庭師の娘ルチアであることを立証した。ソルターは計略破れて、二人の女は共にマリアでないと断言して去る。ザラは伯爵の許を去ろうとしたが、伯爵は彼女をザラであれマリアであれ構わず、彼女それ自身を愛することを告白して止まってくれと願う。伯爵を男として初めて愛するようになったザラは悦んで彼の要求をいれたのである。

今日は映画何の日?

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