「オデッサ・ファイル」のストーリー

1963年11月22日、西ドイツのハンブルグ。久しぶりに母親の家を訪ねた帰り道、愛車を走らせていた新聞記者あがりのルポライター、ペーター・ミラー(ジョン・ヴォイト)は、突然入ってきたカーラジオの臨時ニュースに耳を傾けた。それはケネディ大統領暗殺のビッグ・ニュースだった。そのとき、1台の救急車が彼の車を追い越して行った。ミラーは反射的にその後を追った。それはルポライターとしての本能のようなものだった。事件はひとりの老人のガス自殺だった。現場にはミラーの学校友達だったハンブルグ警察のブラント警部補がいた。翌日、ミラーはブラントから老人が残した日記を入手した。老人はドイツ系ユダヤ人で、その日記はラトビアのリガにあったナチ収容所での地獄のような生活を記録したものだった。それを読むミラーの顔は青ざめ、額には油汗さえにじんでいた。老人は、リガ収容所長だったSS大尉ロシュマン(マキリミリアン・シェル)の非人道的な残虐さを呪い、いつか復讐しようとしていたが果たさず、絶望のうちに自ら命を絶ったのだ。ミラーはその老人に変わってその殺人鬼を捜し出す決心をした。彼はまず、老人の仲間を捜し出しそこから“オデッサ”という恐るべき組織の存在を知った。“オデッサ”とは、残虐の限りをつくした元ナチSS隊員で作った組織で、仲間を助けるためにさまざまな活動をしている秘密組織だった。ナチ狩りから逃れ、身元を偽って社会にもぐり込んでいる元ナチSS隊員を法廷にかけさせないための、強力な結束が“オデッサ”だった。“オデッサ”の組織はクモの糸のように各地に張りめぐらされ、その隊員の職業も裁判官、弁護士、警察と広範囲にわたっていた。数日後、ミラーが恋人のジギー(メアリー・タム)とXマスの買物のために地下鉄に乗ろうとしたとき、突然後から何者かに走ってくる電車に向かってつき落とされた。間一髪で命は助かったものの、こうなるとミラーとしても意地があった。やがて米資料センターでロシュマンの資料を発見した。調べを終えての帰り、ミラーは3人組の男に捕まってしまう。彼らは元SS隊員に復讐することを目的としたグループだった。ミラーが“オデッサ”を追求しているのを知り、彼に協力しようというのだ。早速ミラーを“オデッサ”に潜り込ますための工作が始まった。元ナチ隊員になるために病死した男コルブの出身証明書を盗み、“オデッサ”に接近した。元SS軍曹で警察に追われているという設定である。下級隊員に近づきその紹介で幹部に会うことになった。ミラーを見た幹部将校は矢つぎ早にSSについての質問を始めた。「収容所の真中に何が見えたか?」、一瞬ミラーは答えにつまった。「……空が見えました」。それを聞いた幹部将校の眼が鋭く光った。しかし、どうにか“オデッサ”に潜り込んだミラーはやっとのことでファイルを盗みだし、ロシュマンの足跡を掴むことができた。ある会議のあと、ロシュマンを尾行し、彼の屋敷に忍びこんだ。深夜、やっとのことでロシュマンと対峙することができた。そしてかつて自分の父がナチの収容所でロシュマンの手によって虐殺されたこと、そのあと、とり残された母と二人でどんなに苦しい目にあってきたかを語った。ついに復讐のときがやって来た。ミラーは怒りをこめて拳銃の引き金を引いた。しかし一人のロシュマンは死んだものの、“オデッサ”の組織が滅んだことではないことをミラーはよく知っていた。

今日は映画何の日?

注目記事