「サラーム・ボンベイ!」のストーリー

500ルピーのかたにサーカスに売られた少年クリシュナ(シャフィーク・サイード)は、移動のときに取り残され、ひとりでボンベイの町にやって来て、インド式ミルクティーを売る“チャーイパーウ”として働くことになる。お金をためて早く家に帰りたい、と願うクリシュナは、やがて麻薬の売人チラム(ラグビール・ヤーダウ)と親しくなり、またマンジュ(ハンサー・ヴィタル)という妹のような少女に慕われ、彼女の母親で娼婦のレーカー(アニーター・カーンワル)にも優しくされた。彼女は町のボス、バーバー(ナーナー・バーテーカル)の愛人でもあった。ある日、売春宿にネパール人の少女(チャンター・シャルマー)が売られてきた。娼婦になるのを嫌がる彼女に“花の16歳”とあだ名したクリシュナは、不器用な優しさで彼女に好意を示すが、売春宿の女主人(ショウカト・アーズミー)は、一人前の娼婦に育ってもらおうと彼女をバーバーに預ける。一方、バーバーに隠れてやっていた麻薬取引がバレてクビになったチラムは、いつしか麻薬中毒者になっていて、結局麻薬を絶たれ命を落とす。またチャーイバーウをクビになったクリシュナは、臨時の仕事からの帰り道、警官に見とがめられ、仲間のマンジュと少年院に送り込まれる。やがて少年院を脱走したクリシュナは、すっかり美しい娼婦に成長し、初めての客をとる花の16歳の姿に茫然とする。そしてマンジュと引き離されたことでバーバーと別れて新しい生活を始めようとするレーカーとの争いの場にやって来たクリシュナは、思わずバーバーをナイフで刺してしまう。逃げるクリシュナとレーカーの姿は、ガーネーシャの祭りでにぎわうボンベイの雑踏の中へと消えてゆくのだった。