「愛しのタチアナ」のストーリー

60年代のフィンランド。40歳を過ぎて母親に頭が上がらず、毎日ミシンを踏んでいる仕立屋のヴァルト(マト・ヴァルトネン)は、中毒に近いほど好物のコーヒーを母親が切らしたことで堪忍袋の緒が切れた。母親を押入れに閉じ込め、財布から金を盗んで外へ飛び出した彼は、修理に出していた愛車を受け取りに友人の修理工レイノ(マッティ・ペロンパー)を訪ねる。同じく40を越した独身男の彼は、革ジャンを羽織ってポマードを髪に塗りたくりロックンローラー気取り。「行け、とジョニー・キャシュも言った」とのレイノの言葉で、田舎町の退屈な日常にうんざりした2人は奇妙な旅に出発する。その途中で出会ったやせぎすのエストニア女性タチアナ(カティ・オウティネン)、小太りのロシア人女性クラウディア(キルシ・テュッキュライネン)を港まで車で送ることになったが、ヴァルトはコーヒーをひたすら飲み、レイノはウォッカをあおるだけで、寡黙な男たちは全然コミュニケートができない。やっと着いた安宿でタチアナはレイノと、クラウディアはヴァルトと同じ部屋でひと晩過ごすことになったが、シャイで気が利かない男たちはさっさと寝てしまい、2組のカップルには何も起こらない。やがて車は港に着き、別れを交わしたはずのレイノとヴァルトが船に現れた。エストニアに渡る短い渡航時間の間にレイノとタチアナの気持ちは高まり、彼女が彼の肩にそろそろと頭を預けると、レイノはゆっくりと彼女の肩を抱く。汽車でロシアに帰るクラウディアを見送ったあと、いよいよタチアナの家にたどり着いたが、レイノはここに残ると言う。4人を乗せた車がコーヒー・ショップに突っ込む。それは残らなかったヴァルトの心の揺れか。彼は家に帰ると、再び無言でミシンを踏み始めた。

今日は映画何の日?

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