「海流のなかの島々」のストーリー

1940年、イギリスとドイツは交戦状態にあり、西インド諸島の英領バハマ沿岸にもドイツのUボートが出没し、船舶が攻撃を受けていた。そして、ドイツから逃亡してきたユダヤ人が、キューバやアメリカへの密入国を狙い、この諸島にも流れ込もうとしていた--。バハマ諸島の中の小さな島ビミンに、ハドソン(ジョージ・C・スコット)というアメリカ人が住んでいた。彼は昔、パリで天才画家・彫刻家ともてはやされていた男で、今、この2度も結婚に破れたハドソンは、この島で浮世を捨てた日々を送っている。彼の島での友人は、彼の船トルチュガ号の助手で酒飲みのエディ(デイヴィッド・ヘミングス)、黒人の下働きジョセフ(ジュリアス・ハリス)、元海兵隊員ウィリー(リチャード・エヴァンス)、町の淫売リル(スーザン・ティレル)、そしてユダヤ人をキューバに密入国させることを職業としているラルフ船長(ギルバート・ローランド)だ。6月、ハドソンのもとに、別れた2人の妻と彼との間にもうけた3人の子供達が、夏休みを利用してやってくる。何年かぶりで会える息子達に、ハドソンの心は動揺した。17歳の長男トム(ハート・ボシュナー)は、最初の妻オードリー(クレア・ブルーム)との子であり、あとのデビッド(マイケル・ジェームズ・ウィクステッド)とアンドリュー(ブラッド・サヴェージ)は、2度目の妻との間の子供である。2度目の結婚生活は、ハドソンと妻との間にいがみ合いが続き、デビッドはそれを憶えており、ハドソンを嫌っている。ある日、彼ら一行は、船で沖に出た。そしてデビッドのツリ糸に大きなカジキがかかる。何時間にもおよぶカジキとの死闘が始まった。手も足も血だらけになり、必死でがんばるデビッド。だが、それも続かず、カジキは海中に逃げた。しかし彼の心は爽快だった。そして、彼はそのことを契機に父と心がうちとけていく。やがて、夏休みが終わり、3人が島を去る日がやってきた。トムはカナダのイギリス空軍に入隊することを、父にうちあけ、彼らの飛行機は空の果てに消えていく--。ハドソンの心に今までなかった空洞が出来、孤独感が彼をおそう。だが、数カ月後、島におもいがけない来客があった。ハドソンの最初の妻オードリーである。彼女は、ハドソンに陸軍の将校と再婚することを告げに来たのだ。パリでの幸せな日々の思い出にふれる2人。しかし、彼女の再婚への決意は堅かった。そして彼女はもう一つのニュースを告げる。彼らの間の子トムが戦死したというのだ。この悲しいニュースをのこし、オードリーは島を去っていった--。トムの死はハドソンをうちのめし、彼は住みなれた島をすて、アメリカに残る2人の息子デビッドとアンドリューのそばに戻る決心をする。トルチュガ号は出航する。初めエディには島に残るようにつげ、ジョセフと出航したハドソンは、洋上でエディが船にかくれていたのを発見。しかも間もなくボートに攻撃をうけたラルフの船と遭遇。船には密航中のユダヤ人が4人いた。ハドソンは彼らをトルチュガ号に助け、キューバに彼らを送ってやろうとする。夜明け前、キューバの海岸に接近し、2人の密航者とラルフが、ボートにのりうつった時、キューバの警備艇が姿をあらわした。ハドソンは2人の密航者と共に、トルチュガ号をスタートさせる。銃撃戦が続き、エディが死んだ。そしてサンゴ礁の間を逃げまわったトルチュガ号は、水路に入り、2人の密航者を陸に上げ、追ってくる1隻の警備艇をかわす、しかけをした。ハドソンの銃が水路に並べたガソリン罐を続々と火災の柱とかえていった。しかし警備艇の機関銃が火をふき、ハドソンの胸は血にそまった。ジョセフのなすすべもなく、やがて自然に生きた1人の男が静かに死んでいく--。

今日は映画何の日?

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