「狂言成金」のストーリー

ピーター・ジョーンズという若者はチリコスという田舎町にあるお祖母さんのホテルで番頭をしていたが、その町の素人芝居の舞台監督をしていて、いっぱし劇界の人物のつもりでいた。ところが怪し気なレーマックという劇団が巡業の途中此のホテルに泊まったのでピーター4の芝居熱はいよいよ昴った。孫が可愛くて可愛くて堪らないお祖母さんはホテルを抵当にして一万五千ドルの金をこしらえてやりピーターをニューヨークへ出してやった。ニューヨークに着くと彼は早速レーマック劇団の事務所を訪問し、狐と狸のレーマンとマックリュアに騙されるとは露知らずに大金を出してパートナーの一人になった。彼はメリー・マーティンという一座の主役女優と知り合い恋を語る仲となった。一座は「燃ゆる恋」という芝居を興行することになりブロードウェイの一劇場を賃借りしたが、その前にシラキューズの町で試演を行ったが大失敗に終わった。レーマンとマックリュアは不覚にもピーターに興行の全部を買渡して手を引いてしまった。お陰でピーター無一文になったが落胆せずメリーと相談して劇を改作し、既に小屋代を払ってあるブロードウェイの劇場で蓋を開けると、メリーの懸命の熱演と相まってすばらしい好評を博し翌朝の新聞は筆を揃えて褒めた。二人が喜び合っているところへ一人の弁護士がやって来て「燃ゆる恋」は著作権侵害だと言って大難題を持懸け後刻の確答を約して立ち去った。二人がしょげ返っているところへあつかましい屋の欲張り共のレーマンとマックリュアが興行を買収に来たのでピーターは何食わぬ顔で四万ドルに買い付け、早速メリーと教会へ駆けつけて結婚した。