「母月夜」のストーリー

宝石ブローカーの夫が商売上の面倒から殺人を犯し、死刑に処せられた雪野は、家元芦風の高弟として立派な琴の腕を持ちながら、幼い娘マキを抱えて、歌舞伎の陰弾きなどをして生計をたてていた。母娘の身辺には、いつも矢田刑事の監視の眼が光り、そのため二人はアパートを追われた。歌と踊りに天才的な素養を持つマキに買い与えたウクレレのおかげで雪野とマキは大道芸人として町の人気を集めるようになったが、雪野はマキの将来を考え、芦風夫妻にマキを托して姿をかくした。十七年の歳月が流れ、紡績会社々長戸倉晋作に貰われたマキは美しく明るい娘に成長し、幸福であった。マキは、父の紹介で加藤大六という青年に紹介された。二人は愛し合って婚約したが、ある雪の夜流しの芸人雪野に遭い、幼い日の記憶が甦り、沢山のお金を与えて別れたが、お互いに親子とは気づかなかった。雪野は、失踪以来初めて芦風を訪れ、マキの安否を尋ねた。年老いた芦風は喜んで彼女を迎え、自分の代稽古としてマキに引き合わせた。マキは結婚式当日、雪野と親友四人の琴の演奏に迎えられて式場に行きたいと申し出た。だが、かつての刑事で今は戸倉家の執事の矢田は、雪野が死刑囚の妻であることを暴露して、彼女の演奏に反対した。しかし、マキはすでに、雪野が母であることを知っていた。清らかな花嫁衣裳のマキは雪野と親子の対面をし、母の弾く琴に送られて戸倉家を去って行った。

今日は映画何の日?

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