「一杯のかけそば」のストーリー

大晦日の夜、そば屋“北海亭”を訪れた母子3人が、すまなそうに一杯のかけそばを注文した。交通事故で夫を亡くし、貧しいながらも健気に生きる母子の姿を見たそば屋夫婦は、密かに一人前半のかけそばを差し出す。その後、大晦日になるとやって来る母子を、夫婦は心待ちにするようになり、いつしか心のふれあいが芽生えるのだった。ところがそのことを知った常連客である新聞記者の熊井が、母子のことを新聞記事にしてしまい、北海亭にはマスコミや物珍しがる客が押し寄せ、その年から母子は姿を見せなくなる。それでも夫婦は母子が来るのを何年も待ち続け、店の改装後も3人が座っていた“1番テーブル”だけはそのままにしていた。そして幾年かの年月が経った大晦日の夜、見違えるように立派になった2人の息子と母親が再び北海亭に姿を現した。「あの後、父親の郷里の愛知へ移り住んでからも、一杯のかけそばに励まされて3人手を取り合って頑張って来た」と語る母親は、亡き父親の分も含めてそばを注文する。「かけ4丁!」と叫ぶおかみ。北海亭はみんなの笑顔と幸せな涙に包まれるのだった。

今日は映画何の日?

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