「アメリカン・バッファロー」のストーリー

故物商の主人ドニー(デニス・フランツ)は、ボビー(ショーン・ネルソン)という少年を使い走りとして雇っている。ボビーにとって、ドニーは主人というばかりでなく、父親のような感情を抱ける人物だ。ある日、2人は路上で昨晩のポーカーの大負けで機嫌が悪いティーチ(ダスティン・ホフマン)に出くわす。3人はドニーの店に入り、ティーチはドニーとボビーが興味深いやりとりを交わしているのを聞く。ティーチに尋ねられたドニーは、ボビーが「今朝見つけた」というある男のことを話した。その男はコインのコレクターらしく、店にあった年代物の5セント銅貨“アメリカン・バッファロー”を90ドルで買っていったという。本当はその5倍はするかもしれない代物で、コインの値打ちも知らずに売ってしまったドニーは、ボビーと共にその男の家に忍び込み、コインを盗もうとしていた。ティーチはこの計画に一枚加わろうとするが、ドニーは許さない。しつこいティーチは「子供に何ができる」とねじこみ、ドニーもその気になってボビーを外すことにした。自分の思いどおりになったティーチは得意気に計画を練るが、彼が傲慢さに腹を立てたドニーは「友人のフレッチャー」も仲間に加えようと言う。分け前が減るので、ティーチは機嫌が悪い。夜の23時。約束の時間がきても、店にはまだだれも来ない。そこへボビーが「コインを手に入れた」とやって来たが、ドニーは取り合わない。遅刻したティーチは、フレッチャーを待ち続けるドニーに対し、「奴抜きでやろう」と主張し、癇癪を起す。そこへボビーが現れ、「フレッチャーが襲われ、病院に担ぎ込まれたようだ」と言う。ティーチは「ボビーはフレッチャーやルーシーらと組んで、先に強盗に入ったのだ」と言う。ドニーは病院に電話をかけるが、フレッチャーはいない。ティーチはボビーを厳しく問い詰めて激しく殴りつけた。その時、ルーシーからの電話が入り、フレッチャーは別の病院にいると言う。呆然とするドニー、血だらけのボビーは、彼のためにコインを専門店で買ったことを白状する。良心の呵責に苛まれるドニー。だが、ティーチはまだ腹の虫がおさまらず、ドニーと言い争いを始めた。そんな2人に、ボビーは「今朝、あのコインの男を見つけたのは嘘だ」とぶちまけた。やけになった荒れるティーチと、恐ろしい過ちを犯したことに気づくドニー。ボビーを病院に連れて行こうとするドニーの耳にはティーチの運転する車のクラクションの音だけが鳴り響いていた。