「ゴースト&ダークネス」のストーリー

1898年、ロンドン。英国はライバル各国に先駆けて、東アフリカで膨大な利益を上げる象牙公益ルート確立のため、鉄道網の整備を急いでいた。東アフリカのツァヴォ河に架ける橋を建設するために、政府の高官ボーモント(トム・ウィルキンソン)は、橋梁建技術者のジョン・パターソン大佐(ヴァル・キルマー)を選んだ。ボーモントは歪んだ性格の持ち主で、パターソンや理想主義者の助手スターリング(ブライアン・マカルディ)を過酷な状況のアフリカに派遣し、彼らが失敗するのを心待ちにしていた。かねてよりアフリカに行くのが夢だったパターソンは新婚間もない美しい妻ヘレナ(エミリー・モーティマー)をロンドンに残し、橋の建設を必ず成功させる決意で現地に向かった。パターソンはスターリングの案内で、現地で信頼を得ているサミュエル(ジョン・カニ)と合流し、3千人の作業員が待つ現場に到着。しかし、希望に満ちた彼の心とは裏腹に、スワヒリ語で「殺戮の地」を意味するツァヴォでは、アフリカ人がシャイタニ(夜の悪魔)と恐れる人食いライオンとの戦いが待っていた。彼は到着したその日、襲撃したライオンの1頭を見事1発の銃弾で仕留めるが、喜びも束の間、現場のチーフであるマヒナが残虐な手口で殺された。犠牲者は3ケ月で30人にも達し、ついにスターリングまでも牙に倒れた。作業員のリーダー、アブドゥーラ(オム・プリ)は恐怖に脅えて辞職を訴える。ボーモントの計らいで、高名なハンターであるレミントン(マイケル・ダグラス)が雇われた。現地を知り尽くした彼に希望を託し、パターソンは最後の戦いに挑む。残虐で狡猾な2頭のライオンはゴーストとダークネスと呼ばれ、その生態を知れば知るほどライオンとは思えない、知性を持った幻獣であるかに思えた。2人は競争心と敵愾心を抱きながらも互いに命を預け合って魔獣を追うが、2頭もまた密かに彼らの動きを伺っていた。凄まじい死闘の果てにレミントンは倒れるが、パターソンは2頭を仕留め、呆然と立ち尽した。