「ティコ・ムーン」のストーリー

近未来。独裁者マクビー(ミシェル・ピコリ)が支配する、どこかパリに似た植民地の月面都市。一族の血統には、遺伝的欠陥である、細胞組織を侵す青い染みがあった。彼はお抱えの外科医(ジャン=ルイ・トランティニャン)に豚の臓器を移植させて生きながらえていた。そんな折り。新国連と国家共同体が支配する地球は、マクビー一族抹殺のため2人の殺し屋を派遣。マクビーの双子の弟(ミシェル・ピコリ=二役)が暗殺された。死に怯える彼は、20年前に姿を消した最高の臓器提供者“ティコ・ムーン”の行方を追う。反体制活動家でもあった彼は、かつて計画された移植手術の前日死んだとされていたが、最近になって彼の著作が世界各地で出回るようになっていたのだ。死んだ叔父と秘密警察=トリプラクスを組織する双子の息子エドワードとアルヴィン(ヤン・コレット)は早速動きだすが、末子のコンスタンティン(フレデリック・ゴルニー)だけは浮かぬ顔。一人だけ青い染みが出ない彼は、自分は実はティコ・ムーンと、今は麻薬中毒の母エヴァ(マリー・ラフォレ)の間の子ではないかと疑っていたのだ。かくして……。どこかのホテル。自称彫刻家で20年来記憶を失っているアニクスト(ヨハン・レイゼン)に近付く二人の怪しい男女。ひとりは殺し屋のレナ(ジュリー・デルピー)、もうひとりは米国のジャーナリストを名乗るグレンバー(リシャール・ボーランジェ)。アニクストに秘密警察の手が伸びるが、二人は彼の身を守るかのようにいつも近くにいる。ほどなく恋仲になるレナとアニクスト。一方。兄エドワードも暗殺され、父のように死に怯えるアルヴィン。いよいよ秘密警察はアニクストを連行。レナはアニクストと逃亡。グレンバーは陰ながら二人を助けていた。再度連行されたアニクストを救出に向かうレナとグレンバー。レナはティコ・ムーンを父と信じるコンスタンティンによって、アニクストの護衛のために、そしてグレンバーは、新国連によって、マクビー一族抹殺のために雇われた殺し屋だったのだ。ティコ・ムーンの著作はグレンバーの手によるものだった。手術のため官邸に監禁されたアニクスト。アニクストはエヴァと再会、“ティコ・ムーン”である自分の記憶も少し甦らせる。そこへレナが侵入、応戦したアルヴィンは射殺された。二人はグレンバーに撃たれたマクビーを冷凍睡眠カプセルに葬り、官邸を脱出。二人を追ったコンスタンティンは、つけてきたグレンバーと相撃ちに倒れた。死体の首に浮かぶ青いあざ。彼もマクビーの息子だったのだ。アニクストとレナは宇宙船で月を離れた。

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