「千年の恋 ひかる源氏物語」のストーリー

今から千年前、越前国で父・藤原為時と弟・惟規、夫・宣孝との娘・賢子と共に静かな日々を送っていた紫式部は、ある日、宮中で内覧として権勢を振るっていた藤原道長から、娘・彰子の教育係として京の都に来て欲しいと頼まれる。道長は兄・道隆と覇権を争っており、各々の娘に帝の御子を産ませようと躍起になっていたのであるが、式部も道隆の娘・定子の教育係が清少納言と聞き、静かな闘志を燃やすのであった。そして、式部は教育の傍ら、自らが執筆する壮大な女と男の物語源氏物語を彰子に説いていく。源氏物語の主人公・光源氏は、美しい容姿を持ち、武芸学問にも優れ、誰からも愛される帝の子。だがその裏で、多くの女たちが彼の愛に翻弄されていた。源氏の子を身籠もってしまった義母・藤壺中宮、嫉妬に狂い怨霊となった六条御息所、彼女の呪いで命を落とす正妻・葵の上、理想の女性に育てようと幼い頃より囲われた紫の上、源氏の都落ちの原因を作った朧月夜、源氏の子を産む明石の君、そして四季とりどりの花を集める六条邸に住まわされる女たち。さて、式部の教育により見事な女として成長し、中宮となった彰子が帝の御子を懐妊した。こうして実権を掌握することになった道長は、式部に愛を告げる。亡夫に瓜二つの道長に秘かに惹かれ始めていた式部は、しかしその申し出を断り故郷へ帰る決心をする。それは、男に翻弄されるばかりで愛を思うままに出来ない時代の女の、せめてもの意趣返しであった。