「囁きの木蔭(1940)」のストーリー

1939年夏、内乱スペインのフランコ側監獄に入っていたアメリカ航空士トム・マーティン(レイ・ミランド)は、「妻の嘆願によって」釈放された。独身の彼は首をかしげたが、出てみるとそれは、彼の記事取りにやって来たアメリカの通信記者オーガスタ・ナッシュ(クローデット・コルベール)の策略なのであった。ばれないうちにと、二人はフランスへ逃げ出しかくてパリでの幾日かの交際をつづけるうちに、彼はすっかりオーガスタにのぼせてしまった。やがて彼女はベルリン勤務を命ぜられ、そうそうにパリを旅立ったが、追いかけて来たトムに口説かれて、コンピエーニュの森で短い閑暇を遊ぶことになった。今は彼女も人1倍彼を愛し始めたものの、その最後の日ナチはポーランドに侵入、二人は仕事を捨ててアメリカへ逃げ帰ることにした。しかし船はUボートに撃沈され、任務への情熱をかきたてられたトムは早速英国空軍に投じた。オーガスタも仕事に帰り、ヨーロッパ中を飛びまわって、幾月かが過ぎた。フランス降伏の日、調印式のため再び懐かしのコンピエーニュの森に派遣されて来たオーガスタは、通信員に化けてやって来たトムにめぐり合った。戦闘で片腕を利かなくしたトムは、残る腕で彼女を抱きしめながら、今こそ帰国してアメリカの人にヨーロッパの悲劇を伝える時が来たと囁くのであった。