「無花果の顔」のストーリー

庭に花の咲かない無花果の木がある門脇家は母(桃井かおり)。父(石倉三郎)、娘(山田花子)、弟(HIROYUKI)の四人家族。そんな中、工務店に勤める父が、朝帰りをしたあげく、家を出ていってしまった。父の住居を訪ねた娘は、父が他人の手抜き仕事の後始末を徹夜でするために、ひとり暮らしを始めたことを知る。ようやく仕事の目処がついた父は久々に帰宅する。陽気に笑う母。しかし父が仕事場で倒れ、帰らぬ人になった。テキパキと通夜の準備をする母。葬式用の写真を探していた娘は、自分が「養女」と記されている戸籍謄本を偶然みつけ、呆然とする。母は、その後も父の死を受け入れられない。そんな母の様子を、気遣いながら見守る子供たち。まもなく母は、住み慣れた家を引き払い、娘のアパートで新生活をスタートさせた。そんな二人が迎えた人生のターニング・ポイント。母は、勤め始めた居酒屋の主人(高橋克実)と再婚。いっぽうの娘は、なんとなく交際していた男(岩松了)の子供を知らぬ間に妊娠し、唐突に女の子を出産した。新しい父と母が住む家の庭では、あの無花果の木が白い花を咲かせた。根っこに埋められた、家族ひとりひとりの思いを糧にして……。