「ミルコのひかり」のストーリー

1970年代初頭、イタリアのトスカーナ地方。10歳のミルコ(ルカ・カプリオッティ)は両親の深い愛情を受けて育つ映画好きの少年。ある日、ミルコは祖父の古い銃を暴発させてしまい両目の視力を失ってしまう。当時のイタリアの法律では、視覚障害者は普通学校には通えない規則になっており、ミルコはやむなく遠く離れたジェノヴァの全寮制の盲学校に転校することになる。映画を見られないだけでなく、この境遇をなかなか受け入れられないミルコは心を閉ざしがちになっていくが、転機はふいに訪れた。ミルコは古いテープレコーダーを偶然見つけ、音だけで世界を作っていくという新たな楽しみを覚える。古い規律や体制を重んじる校長たちはミルコからその楽しみを取り上げようとする。ところがミルコの聴力の才能にいち早く気付いたジュリオ神父(パオロ・サッサネッリ)は、学校に内緒で新しいテープレコーダーを与える。寮の管理人の娘であるフランチェスカにも助けられながら、ミルコはその後も物語を録り続けていく。やがてフランチェスカが考案した物語にクラスメイトたちも興味を持ち、その遊びに参加するようになる。ミルコの自由を信じる力は、周囲にも影響を与えはじめる。ある晩、こっそりと寮を抜け出し、ミルコたちは映画館へ行く。閉ざされた世界で暮らす子供たちにも夢と可能性があることを気付かせていくのである。しかし、ミルコが新しいテープレコーダーを持っていることが発覚し、ついに校長から退学処分を言い渡されてしまう。ミルコが自分自身の問題と向き合っている最中、外の世界では社会改革のための運動が盛んになってきていた。そんな折、ミルコとフランチェスカはエットレ(マルコ・コッチ)という視覚障害者の運動家に出会う。