「まぼろしの邪馬台国」のストーリー

昭和31年。日中戦争で北京から博多へ一家で移住した長浜和子(吉永小百合)は、ラジオ番組「九州の歴史」を担当するフリーの声優に成長していた。その日、ゲストに迎えた宮崎康平(竹中直人)は長崎の島原鉄道の社長であり、盲目の郷土史家だった。邪馬台国の起源を探求することに熱中する康平は傲慢憮然な人物だが、和子の柔らかい対応を気に入る。そして、「島原に来んしゃい」と強引に誘った。1ヶ月後、島原を訪ねた和子は、康平から新規事業の観光バスのバスガイドの教師役を持ちかけられる。博多での仕事のめども立たない和子は引き受けて成功へと導いた。ワンマン社長の康平は、社員の佐々木(窪塚洋介)たちからはもちろん、副社長の戸田(石橋蓮司)にも疎まれていた。やがて、ある日の役員会で康平は解任される。私生活では妻に夜逃げされて、幼い二人の子供を抱える康平。すべてを失いながらも、邪馬台国に憑かれている彼の人柄に惹かれた和子は、康平からの求愛を受けた。康平と和子の二人三脚での邪馬台国探しが始まった。魏志倭人伝や古事記をひもとき探求を続ける康平と、その生活を支える和子。金銭的な面では、有明銀行の頭取である江阪(江守徹)が援助を惜しまなかった。九州の各地を訪れながら、康平と和子の旅は続く。8年もの歳月が費やされた康平の著書「まぼろしの邪馬台国」は、吉川英治文化賞を受賞した。その受賞パーティの夜、成長した康平の長男は夜逃げしたままだった実の母親(余貴美子)のもとを訪ねる。帰郷後、長男は母から受け取った離婚届を康平と和子に渡す。こうして二人は、晴れて名実ともに夫婦となった。地元で新たにバナナ園という事業を起こした康平は、ようやく卑弥呼の墓を発見する。そこで見た幻の卑弥呼は、和子にそっくりだった。感激のまま息をひきとる康平。彼の幸福な半生は、周囲の多くのひとびとも幸福へと導くものだった。

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