「脳内ニューヨーク」のストーリー

ケイデン・コダート(フリップ・シーモア・ホフマン)は人気の劇作家。画家の妻アデル(キャスリーン・キーナー)、娘のオリーヴ(セイディ・ゴールドスタイン)と3人でニューヨーク州シェネクタディに暮らしていた。だが、個性のない舞台演出を無気力に続ける夫にアデルは失望、オリーヴを連れてベルリンへと旅立ってしまう。落ち込むケイデンを支えてくれるのは、劇場の受付嬢ヘイゼル(サマンサ・モートン)。だが、アデルに未練を残すケイデンは関係を発展させることもできず、2人の間は自然消滅。そんな不運続きの彼に、転機が訪れる。マッカーサー・フェロー賞、別名“天才賞”を受賞したという知らせが舞い込んだのだ。人生に行き詰っていたケイデンは、その賞金を全て注ぎ込み、あるプロジェクトの実行を決意。それは、自分の頭の中にある“もうひとつのニューヨーク”を現実のニューヨークの中に作り出すというものだった。超巨大な倉庫の中に作られていくケイデンの“脳内ニューヨーク”。彼は俳優たちに、“その中で人生を構築し、再現する”ように指示を出す。その俳優たちの中には、ケイデン自身を演じるサミー(トム・ヌーナン)の姿も。自分の人生そのものを演劇として作り上げるのが、ケイデンの目的だったのだ。だが、着々と準備が進む舞台に反して、ますます悪化していくケイデンの人生。再婚した女優クレア(ミシェル・ウィリアムズ)との仲はこじれ、成長した愛娘オリーヴ(ロビン・ワイガート)は全身刺青だらけになった上に、連絡がつかなくなってしまった。ヘイゼルと再会するものの、相変わらず関係は進展しない。いつの間にか現実のニューヨークと、俳優が演じる“脳内ニューヨーク”の間で人間関係が複雑に絡み合い、ケイデン自身も収拾がつかなくなっていく。さらに、自らも別の人格を演じる俳優の1人にされてしまう。やがて、プロジェクトは想像もつかない方向へと向かっていく……。