「白夜行」のストーリー

昭和55年。とある廃ビルの密室で、質屋の店主が殺された。すぐに妻の桐原弥生子(戸田恵子)と従業員で弥生子の愛人、松浦勇(田中哲司)に嫌疑がかかるが、所轄の担当刑事である笹垣潤三(船越英一郎)に10歳になる息子の桐原亮司(今井悠貴)が母親のアリバイを証言する。一方、捜査本部は、被害者が事件の直前、西本文代(山下容莉枝)という女の家を訪ねていたことを突き止める。だが、笹垣の職務質問に嘘で答えようとした文代を制したのは、10歳の少女・西本雪穂(福本史織)だった。その後、文代の若い恋人が事故死、質屋殺しの決定的証拠品も発見され、その後を追うかのように文代がガス中毒死、事件は被疑者死亡のまま解決を見る。だが、笹垣はどうしても腑に落ちない。被疑者の息子と容疑者の娘の姿が、いつまでもちらついて去らないのであった……。数年後。遠戚である唐沢礼子(中村久美)の養女となった唐沢雪穂(堀北真希)は、著名なお嬢様学校、清華女子学園に通う美しく聡明な女子高生になっていた。入学当初は「昔は貧乏で、実の母親が殺人犯」という噂もあって学内でも浮いた存在だったが、噂はすぐに消え、やがて名実ともに学園のスターになっていく。大学に進学してからは、親友の川島江利子(緑友利恵)と社交ダンス部に入部、まもなく周囲を魅了する存在となる。一方、桐原亮司(高良健吾)は、事件後実家を離れ、自活するようになっていた。以前は欲求不満のオバサン相手に性を売ることで収入を得ていたが、とある乱交パーティーで20歳も年上の典子(粟田麗)と出会い、心通うものを感じて同棲するようになる。不倫に傷つき自暴自棄になっていた典子と亮司は、互いの心の傷をそっと癒し合うようにささやかな生活を営んでいた。そんな中、笹垣は未だ質屋殺しの一件に囚われていた。やがて、自らの命までも狙われるようになった時、遂に笹垣は19年前に結ばれた確かな絆の存在に思い至るのであった……。