「嵐ヶ丘(1939)」のストーリー

北イングランドに「嵐ケ丘」と呼ばれる荒涼たる邸があった。当主のアンショウ(セシル・ケラウェイ)は慈悲心に富んだ老紳士で、リヴァープールへの旅の途中で飢えていたジプシーの少年を拾い、ヒースクリフと名づけ家族の一員に加えた。アンショウには息子のヒンドリーと娘のキャシーがいたが、ヒンドリーはヒースクリフを憎悪し、ことあるごとに虐待した。男優りのキャシーはヒースクリフと親しく、ペニストーンの岩を2人の城になぞらえ、よく遊んだ。アンショーの死後、嵐ケ丘の当主となったヒンドリー(ヒュー・ウィリアムズ)はヒースクリフ(ローレンス・オリヴィエ)を邸内から厩舎に追い出してしまったが、キャシー(マール・オベロン)とヒースクリフはお互いに将来への希望を抱き合っていた。そして時が流れた。ヒンドリーは酒と女に放埓な日々を送り、キャシーはヒースクリフに激しく惹かれながらも、華やかな上流生活に憧れた。2人はリントン家の舞踏会を見にゆき、キャシーは犬に噛まれて大怪我をし、リントン家に留まって手当てをすることになった。リントン家の嗣子エドガー(デイヴィッド・ニーヴン)は美しいキャシーに求婚した。キャシーはヒースクリフとエドガーのいずれにわが身を托すべきか迷い、召使のエレン(フローラ・ロブソン)にその気持ちを打ち明けるが、自分はヒースクリフと一身同体であり、彼と別れられないことを悟る。しかし、ヒースクリフはキャシーの気持ちを誤解して、嵐ケ丘から姿を消した。キャシーはエドガーと結婚した。2年後、ヒースクリフは南米で成功し、見違える姿で嵐ケ丘に戻った。彼は酒で財産を蕩尽したヒンドリーから嵐ケ丘を買いとり、リントン一家への復讐の実行の機会を待っていた。彼はエドガーの妹イザベル(ジェラルディン・フィッツジェラルド)に言い寄り求婚した。キャシーにはヒースクリフの企てが判っていた。彼女の忠告を受けたイザベルは、義姉が嫉妬の余りにヒースクリフを中傷するのは止めてほしいと言い放って、嵐ケ丘の女主人となった。しかし、イザベルは女中にも劣る悲惨な待遇を受ける。やがてキャシーは病床に就き、ヒースクリフこそ本当に愛する人だったと告白して逝った。ヒースクリフはキャシーの遺骸に、自分の生ある限り亡霊となって訪ねてくれと絶叫した。そして吹雪の夜、彼はキャシーの亡霊の呼び声に憑かれた者のようにペニストーンの岩の下まで行き、息絶えたのである。