「大洋のかなたに」のストーリー

宣教師がハワイに最初の一歩を印してから、数十年。島は今、その子孫の強力な“フォート”によって運営されていた。やがて、島の労働力が不足し、中国から大量の移民が、ホイップ・ホックスワース船長(チャールトン・ヘストン)の船で、送られてきた。航海中に祖父を失ったホイップは、妻のピューリティ(ジェラルディン・チャップリン)との約束で、海を捨てた。その日から、彼の、遺された不毛の土地との闘いが始まった。流れ者の井戸掘りミルトン(ドン・ナイト)と契約し、ホイップは水脈を探した。また、彼の船で移民してきて、ピューリティの思いやりでホイップの家に雇われたムン・キー(マコ)とニック・ツィン(ティナ・チェン)夫婦も、懸命に働き、多くの息子を生んだ。そして、ピューリティが難産のため発狂した後、その子ノエルまでもひきとり、育てた。幾歳月が流れ、広大な荒地が緑の大地に変わった。ホイップはこの土地をパイナップル畑にすることを夢み、輸出禁止のパイナップルを密輸するため、ギアナに渡った。彼の留守中に、不幸が襲った。ムン・キーがひどい感染症におかされ、一生モロイカ島へ隔離されることになってしまったのだ。ニック・ツィンは夫と共に島に渡り、地獄のようなその島で子供を産んだ。その子メイ・リーは、ニック・ツィンの願いで、ホイップに引きとられた。やがて、15歳になったノエルは海へ出て行った。夫を失ったニック・ツィンが帰ってきたのはその頃だった。彼女が望んだパイナップルは、見事に生産されていた。その後、ニック・ツィンは店を持ち、子供たちと力を合わせ財を築いていった。一方、ホイップはハワイ王朝の転覆をはかり、逮捕されたが、それがきっかけで、ハワイ共和国が誕生した。やがて成長したノエル(ジョン・フィリップ・ロー)が海からもどり、港で働くメイ・リー(バージニア・アン・リー)と愛し合う仲となった。不幸がまたニック・ツィンを襲った。ペスト流行のため、チャイナ・タウンを焼きはらうことになってしまったのだ。爪に火をともすようにして築いた財産は、一瞬にして灰と化した。ホイップはこの白髪の、小柄な体に強い意志をひめた女、ニック・ツィンをはげまし、助力を約束した。そして、ノエルとメイ・リーは結婚し、明日を背負う子供たちの働きぶりを見ながら、ニック・ツィンは亡き夫に、やさしく語りかけるのだった。(ユナイト配給*2時間4分)