「異常な快楽」のストーリー

フランス王室に対する煽動的論評、不自然な性行為に関する文書を書いた罪で、警察に追われるマルキ・ド・サド(キア・デュリア)は、今はまったく廃墟と化したラ・コストの城に帰ってきた。そこで、彼にあらゆる悪徳を教えこんだアベ・フランソワ・ド・サド(ジョン・ヒューストン)に出会った彼は、アベと共に、荒れ果てた大広間の劇場で、自分の歩んだ半生を再現した。まずサドの少年時代が演じられた。やがてサドは成長するにつれて、偽善的な上流社会の風潮に反抗し、倒錯的な性愛行為を重ねたため、投獄された。サドの両親はこの息子を結婚によって正常に戻そうと、大富豪モントルイユ家の娘ルネ(アンナ・マッセイ)との政略結婚を強制。妹娘アン(センタ・バーガー)の方を愛していたサドは、結婚と同時に、淫売宿に入りびたり、モントルイユ夫人(リリー・パルマー)の怒りをかって、再び投獄されてしまった。2週間の投獄の後、サドは妻の持参金を乱費し始め、ラ・コストの城の大広間を、本格的な劇場にした。1767年、長男が生まれたところ、サドの悪名を決定的なものとする事件がおきた。パン屋の未亡人ローズ(ユタ・レフカ)を別邸につれこみ、責めぬいたのだった。その結果、またも暗い牢獄で暮らすこととなったサドは、悪と性に関する反社会的な作品を書きつづけ、狂ったように自由を求めた。幻想か回想か、混迷するサドの意識の中で、芝居はなおもつづけられた。演出者のアベはついにアンをサドの前に現した。ルネとの結婚後も、美しい妹アンに対するサドの愛情は少しも弱まることはなかった。むしろ高まる彼の愛情を知ったモントルイユ夫人は、サドの前からアンを遠ざけ、修道院に入れていた。パリに住めなくなったサドは、修道院へアンを訪ね、2人はともにイタリアへ駆け落ちし、つかのまの不倫の恋に酔いしれた。しかし、そのすぐ後で、アンは疫病のために急死してしまった。その死はサドに原因があるとして、彼は法廷に立たされることとなった。多くの証人はサドを非難したが、彼はことごとくその連中を罵倒した。こうして、この現実とも想像ともつかない芝居は終幕をむかえることとなった。精神病院の個室に老人が1人うなされていた。この老人こそ、病めるサドであった。彼は「わしはこのように老いさらばえているが、心の中では若く、いつも逃走しようといている」とつぶやき、がっくりとベッドに沈んだ。芝居はようやく終わった。

今日は映画何の日?

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