「ウィズネイルと僕」のストーリー

1969年の秋。ロンドンのカムデンタウンで、25歳の僕(ポール・マッギャン)と30歳のウィズネイル(リチャード・E・グラント)は、共に売れない役者として、言葉では言い表せないほどひどい酒浸りの日々を送っていた。居間には物が散乱し、至る所に朝食が残されたまま。台所は山積みになった洗い物が悪臭を放っていた。主食は友人の“ヘッドハンター”ダニー(ラルフ・ブラウン)が提供してくれる酒とドラッグ。ウィズネイルとダニーは、ほとんど挫折しかけた俳優のようだった。少なくともオーディションがある僕に対して、何もないウィズネイルは現状に腹を立てていた。僕とウィズネイルは気分転換のため、チェルシーに住むウィズネイルの叔父モンティ(リチャード・グリフィス)を訪ね、田舎の別荘を借りることにした。巨体に加え、他人に不快感を与える風貌を持つモンティだったが、僕のことは気に入ってくれた。ある夜、使い古したジャガーで危険なドライブの後、僕たちは真っ暗なペンリスのクロウ・クラッグに到着。そこは湿っぽく、明りも暖房も水もなかった。朝になり、食料と薪を探しに出かけたところ、田舎の人は都会の人間よりもよそ者に対して冷たいことを知る。凍えるような寒さとやまない雨の中、好色な牛と精神異常の“密猟者”ジェイクに遭遇。これは僕たちが期待した田舎の生活ではなかった。そこへモンティが加わり、状況はさらに予期せぬ方向へ。やがて、エージェントからテレビの仕事があると連絡を受けた僕は、ウィズネイルとともにロンドンへ戻る。久しぶりに帰った部屋のベッドではダニーが身を潜め、大家からは立ち退き命令が出ていた。一番驚いたのは、僕が主役を演じるようになった事だ。ウィズネイルと僕を結びつけていたものはもう存在しない。悲しいことに、ウィズネイルと僕はそれぞれ異なる道を進む。“2人にとって素晴らしい10年”はこうして終わりを迎える。