「夜に逃れて」のストーリー

舞台は1930年代の天津。名家で育った英兒と幼少からニューヨークに留学していた銀行家の跡取り少東。許嫁のふたりは長い間の文通を通して、交流を深めていた。大人になって初めて対面するふたりは、旧友と再会したような暖かい気持ちで、結婚に疑問を持つこともなかった。そんな時、ふたりは菎劇劇団の看板男優として、「林沖夜奔」を演じる林沖と出会う。林沖には黄子雷というパトロンがいたが、英兒、少東と過ごす時間が多くなっていった。やがて林沖には、少東への憧れを越えた想いが芽生えてゆく。一方少東も、林沖への友情とは違う感情に戸惑うようになる。ふたりの親密さは、やがて周囲の噂となり、次第に三人の運命を狂わせてゆく……。