解説
2024年のカンヌ国際映画祭プレミア部門で初公開され、話題を集めたレオス・カラックスのセルフポートレート。自作のフッテージをはじめ、様々な映像の断片を編集し、“自分がどこから来てどこへ行くのか”という答えのない謎について、口籠もりながら語る。カラックス本人のほか、「ボーイ・ミーツ・ガール」のドニ・ラヴァン、カラックスの娘ナースチャ・ゴルベワ・カラックスらが出演。
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ユーザーレビュー
「IT'S NOT ME イッツ・ノット・ミー」のストーリー
パリの現代美術館ポンピドゥーセンターは、カラックスに白紙委任する形で展覧会を構想していたが、予算が膨らみすぎて実現不能となり、ついに開催されることはなかった。その代わりに作られたのが本作である。ポンピドゥーセンターからの問いかけは、カラックスの今いる位置を尋ねるものだったが、カラックスはそれをより根源的に捉え直し、“自分がどこから来てどこへ行くのか”という答えのない謎に、地の底から響くような低い声で口籠もりながら語ってゆく。家族について、映画について、20世紀と独裁者と子どもたちについて、死者たちについて、そして「エラン・ヴィタル(生の飛躍、生命の躍動)」(ベルクソンの言葉)について。2022年に亡くなったジャン=リュック・ゴダールの後期のエッセイ・スタイルへのオマージュではあるものの、ゴダールが思索的・分析的なのに対し、カラックスはずっと夢想的・連想的にみえる。ホームビデオから映画、音楽、写真とさまざまなジャンル、フォーマットの映像を夢の断片のようにコラージュしながら、自身のポートレイトをプライベートにダイレクトに描く。そこにはストーリーも結論もないが、至る所に見る者の心を揺さぶる声や瞬間がある。難民の子どもの遺体に重なるジョナス・メカスの声。留守電に残されたゴダールの伝言。娘のナースチャがピアノで奏でるミシェル・ルグランの「コンチェルト」のテーマ。主観ショットで捉えられた「汚れた血」のジュリエット・ビノシュ。「ポーラX」のギョーム・ドパルデューとカテリーナ・ゴルベワ。盟友だった撮影監督ジャン=イヴ・エスコフィエへの献辞。その後で、不意に訪れる驚嘆すべき素晴らしい終幕……。すべてが親密で私的で詩的なカラックスからのメッセージだ。
「IT'S NOT ME イッツ・ノット・ミー」の映像
「IT'S NOT ME イッツ・ノット・ミー」の写真
「IT'S NOT ME イッツ・ノット・ミー」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「IT'S NOT ME イッツ・ノット・ミー」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | 伝記 ドラマ |
製作国 | フランス |
製作年 | 2024 |
公開年月日 | 2025年4月26日 |
上映時間 | 42分 |
製作会社 | CG Cinema=Theo Films=Arte France Cinema |
配給 | ユーロスペース |
アスペクト比 | 1:1.78 |
カラー/サイズ | カラー |
公式サイト | http://eurospace.co.jp/itsnotme/ |
コピーライト | (C)2024 CG CINEMA・THEO FILMS ・ARTE FRANCE CINEMA |