解説
政情不安な東南アジアのある国で起こった日本大使の息子誘拐事件をめぐるサスペンス映画。製作はイアン・ロイド、監督は「モンテカルロ・ラリー」のケン・アナキン、脚本・原作はジャック・デイヴィス、撮影はジョン・カブレラ、音楽はロイ・バッドが各々担当。出演は三船敏郎、デイヴィッド・ニーヴン、安藤一人、高美似子、ハーディ・クリューガー、イレーネ・ツなど。
ユーザーレビュー
「太陽にかける橋 ペーパー・タイガー」のストーリー
政情不安な東南アジアのクーラゴンの空港に、杖をついた片足の不自由な中年の男が降りたち、日本大使館に向かった。男は英国人で名をウォルター・ブラッドベリー(デイヴィッド・ニーヴン)といい、この国の日本大使であるカゴヤマ(三船敏郎)の長男弘一少年(安藤一人)の家庭教師をつとめることになっていた。数日後のある夜、パーティーが催された。主賓である外務大臣が到着した。ドイツから取材にきていたTVプロデューサーのミューラー(ハーディ・クリューガー)はこのパーティーで同席した自分と同じヨーロッパ人であるブラッドベリーと話しているうちに、この男の過去に興味を持ち始めていた。そのとき突然、パーティ会場に外務大臣暗殺を謀るテロリストの一味が乱入した。しかし、危機一髪、恐怖のあまり物かげに隠れたブラツドベリーの杖が偶然にも狙撃者の邪魔をして暗殺は未遂に終わった。この思いがけない事件によってブラッドベリは一躍名士になり、弘一はいつも彼が語ってきかせてくれる自身の戦場での活躍ぶりの影響もあって増々彼を英雄視するようになっていった。一方、外務大臣暗殺に失敗したゲリラのリーダー、ターラ(イレーネ・ツ)は、白昼堂々と弘一少年とブラットベリー誘拐に成功し、投獄されていた同志の釈放を政府に要求した。だが、ゲリラ側の要求に対し、政府は全面的に拒絶、深い絶望が大使と弘一の母をおそった。その大使のもとに、ミューラーが訪れた。ブラツドベリーの過去に興味をもって調べていた彼は、その虚飾に充ちた偽りを知ったのだ。その頃、尊敬の眼しで自分を見る弘一少年の視線に耐えきれなくなったブラッドベリーは幾度か真実を明かしてしまいたい衝動にかられていた。自分は勲功に輝く戦場の勇士ではなく、脚の傷は小児マヒによるものにすぎない。そんな彼は、いつしか果たさぬ夢を描き、絵空事の人生をつくりあげていたのだ。しかし、ペテン師とは知らずにブラッドベリーを純粋な気持で慕う弘一との触れあいの中で、ブラッドベリーは真実の尊さに眼覚めていった。一方、政府が要求を拒否したことを知ったターラは、弘一に「もし大統領が政治犯を釈放しなければぼくたちは殺される」という内容の手紙をかかせた。しかし弘一は賢かった。彼は手紙をターラたちには解読できない日本語で書いた。「パパ、早く助けに来て、場所はジャングルの中」。そんなことが書かれてあるとも知らないゲリラは弘一の手紙を大使のもとに送った。幼い知恵が企んだ手紙の内容の発覚をおそれたブラッドベリーは弘一を連れて監視の目を盗み、脱走を決行した。険しい山中を逃げる弘一とブラッドベリーを追うターラとその一味。しかし二人はゲリラに発見され、ブラッドベリーは銃弾に倒れる。さらにゲリラの銃口は引一に狙いを定めるが、そのとき、救援隊のヘリコプターの爆音が轟き渡り、ターラとその一味は一瞬のうちに射殺される。ふたたび大使一家に平和な日が戻った。真実を告げてこの家を去ろうと、傷も癒えたブラッドベリーは大使に面会した。頭をたれる“ペテン師の家庭教師”に大使の返事がかえってきた。“果たしえぬ夢は誰でも見るものです。あなたなしには弘一の将来はありません”。
「太陽にかける橋 ペーパー・タイガー」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「太陽にかける橋 ペーパー・タイガー」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | サスペンス・ミステリー |
製作国 | イギリス |
製作年 | 1975 |
公開年月日 | 1976年5月1日 |
製作会社 | イアン・ロイド・プロ |
配給 | 東宝東和 |
レイティング | |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |