解説
幼い頃から一心同体に育った一卵生双生児の婦人科医の兄弟が、ひとリの女性に出会ったことにより自己同一性の均衡を崩してゆく姿を描く。製作・監督・脚本は「クライム・オブ・ザ・フューチャー 未来犯罪の確立」のデイヴィッド・クロネンバーグ、共同製作はマーク・ボイマン、共同脚色はノーマン・スナイダー、原作はバリ・ウッドとジャック・ギースランド、撮影はピーター・シャシスキー、音楽はハワード・ショアが担当。出演はジェレミー・アイアンズほか。
ユーザーレビュー
「戦慄の絆」のストーリー
少年時代からいつも一緒だった一卵双生児の兄弟、エリオット(ジェレミー・アイアンズ)とビヴァリー(J・アイアンズ=二役)は、容姿こそ瓜二つであるが、性格は兄のエリオットが社交的で野心家、弟のビヴァリーが内気で繊細な努力家と正反対であった。が、不思議とバランスのとれた兄弟の共同生活は、トロントに婦人科医マントル・クリニックを開業した現在も続いていた。ある日ビヴァリーは、女優クレア・ニヴォー(ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド)を診察し、体内で3つの小部屋に分かれている彼女の子宮に驚く。エリオットはビヴァリーの報告をうけ、彼女に子供の持てぬ体であることを告げ、その夜二人は抱きあった。翌日クレアのもとを訪ねたビヴァリーは、突然彼女に抱きつかれる。彼女は兄弟が双子であることを知らず、昨日のエリオットと今日のビヴァリーを同一人物と思っていたのである。自分の乱れた過去を告白し、ビヴァリーをベッドに誘うクレア。そして二人は体を重ねた。しかしこの事は、何もかも共有し楽しんできた兄弟の初めての秘密となる。ビヴァリーとクレアは幸せな日々を過ごすが、ある日彼女が友人からマントル兄弟の真実を知ったことで、この平穏は破られる。激怒してビヴァリーのもとを去るクレア、しかしこの後彼の精神は次第にむしばまれ始め、さまざまな薬に依存する現実逃避が始まる。やがて街角でクレアと再会したビヴァリーは、彼女に助けを求め、もう一度ベッドを共にする。国外ロケに出かけたクレアを見送ったエリオットは、孤独に耐えかね彼女の宿泊ホテルに電話をかけるが、それをうけた男がマネージャーと知らない彼は、浮気と誤解し、ますます薬にのめり込んでゆく。苦悩する彼は、ある夜エリオットと彼の愛人ケイリー(ハイジ・フォン・パレスク)の前で気を失い、ショックのあまり呼吸が止まってしまう。エリオットの看護で、彼は命をとりとめたものの、今度は妄想にとりつかれ始め、異様な医療器具を手に手術を執刀し、錯乱のうちに患者を傷つけてしまう。しかし彼のこの妄想も、クレアの帰国と、それによる誤解の解消とで次第に影をひそめ、自分を取り戻してゆく。が、今度はそれに反比例するかのようにエリオットの神経が徐々に崩れてゆき、ある日悲劇は起きた。
「戦慄の絆」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
---|
キャスト | 役名 |
---|

「戦慄の絆」のスペック
基本情報 | |
---|---|
ジャンル | ドラマ |
製作国 | カナダ |
製作年 | 1988 |
公開年月日 | 1989年6月10日 |
上映時間 | 116分 |
製作会社 | マントル・クリニック?・プロ |
配給 | ベストロン映画 |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
関連するキネマ旬報の記事
関連記事一覧 | |
---|---|
1989年6月上旬号 |
グラビア 戦慄の絆 特集 戦慄の絆 評論 特集 戦慄の絆 クローネンバーグ・インタビュー |
1989年7月上旬号 | 問題作批評 戦慄の絆 |
1989年8月上旬号 | 外国映画紹介 戦慄の絆 |