解説
「ホフマン物語」のアレクサンダー・コルダと、「白昼の決闘」のデイヴィッド・O・セルズニックが協同で提供する一九四九年作品で、カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した。戦後イギリス文壇で代表的な位置に立つカソリック作家グラハム・グリーンが映画のために原作を書卸し、自ら脚色、これを「邪魔者は殺せ」のキャロル・リードが監督、同時に製作も担当している。撮影は「邪魔者は殺せ」のロバート・クラスカー、装置は「バグダッドの盗賊(1940)」のヴィンセント・コルダ他の担当である。なお音楽はこの映画のためにウィーンのツィター演奏家アントン・カラスが作曲、自ら演奏したものが唯一の伴奏となっている。主演は「旅愁」のジョゼフ・コットン、「白銀の嶺」のアリダ・ヴァリ、「黒ばら」のオーソン・ウェルズ、「黄金の龍」のトレヴァー・ハワードで、以下「会議は踊る」のパウル・ヘルビガー、バーナード・リー、エルンスト・ドイッチ、エリッヒ・ポントらが助演する。
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「第三の男」のストーリー
米国の西部作家ホリー・マーティンス(ジョゼフ・コットン)は、旧友ハリー・ライムに呼ばれて、四国管理下にある戦後のウィーンにやって来たが、ハリーは自動車事故で死亡し、まさにその葬式が行われていた。マーティンスは墓場で英国のMPキャロウェイ少佐(トレヴァー・ハワード)と連れになり、ハリーが闇屋であったときかされたが、信ずる気になれなかった。ハリーは生前女優のアンナ(アリダ・ヴァリ)と恋仲であったが、彼女と知り合ったマーティンスは、彼女に対する関心も手伝ってハリーの死の真相を探ろうと決意、ハリーの宿の門衛(パウル・ヘルビガー)などに訊ねた結果、彼の死を目撃した男が三人いることをつきとめた。そのうち二人はようやく判ったが、“第三の男”だけはどうしても判明しないまま、マーティンスは何者かに脅かされはじめ、門衛も殺されてしまった。一方アンナは偽の旅券を所持する廉でソ連MPに粒致されることになり、それとも知らずに彼女の家から出て来たマーティンスは、街の物陰に死んだはずのハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)をみつけた。ハリーがペニシリンの密売で多数の人々を害した悪漢であることを聞かされていたマーティンスはこれをMPに急報し、アンナの釈放と引きかえに彼の逮捕の助力をするようキャロウェイから要請された。マーティンスはハリーと観覧車で逢い、改めて彼の兇悪振りを悟って、親友を売るもやむを得ずと決意したが、釈放されたアンナはマーティンスを烈しく罵った。しかし病院を視察してハリーの流した害毒を目のあたり見たマーティンスは結局ハリー逮捕に協力することになり、囮として彼をカフェで待った。現れたハリーは警戒を知るや下水道に飛込み、ここに地下の拳銃戦が開始され、追いつめられた彼はついにマーティンスの一弾に倒れた。かくて改めてこの“第三男”の埋葬が行われた日、マーティンスは墓地でアンナを待ったが、彼女は表情をかたくしたまま彼の前を歩み去って行った。
「第三の男」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「第三の男」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | サスペンス・ミステリー |
製作国 | イギリス |
製作年 | 1949 |
公開年月日 | 1952年9月16日 |
上映時間 | 104分 |
製作会社 | ロンドン・フィルム |
配給 | 東和=東宝 |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | スタンダード(1:1.37) |
カラー/サイズ | モノクロ/スタンダード |
音量 | モノラル |
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