「ル・ミリオン」のストーリー
パリ、モンマルトルの小汚いアパートの一室を画家のミシェルと彫刻家のプロスペルとは共同のアトリエとしている。ミシェルには許嫁がある。ベアトリスというオペラ・リリック座のダンサーでミシェル等のアトリエと向き合った部屋に彼女は住んでいる。というのはミシェルがかなり浮気だったからで、今朝も彼女は繕ってやった古い上着を持って来てやるとミシェルは美しい有閑婦人と抱合っているので怒って了う。そして警官に追われて彼女の部屋に逃込んできたスリの親分クロシャールに気前よく其の上着を遣った。一方ミシェルは大勢の借金取りに攻められているとプロスペルが富くじが当ったといって駆込んでくる。ミシェルは百万フランの金持ちになって跳んで喜んだが、肝腎の富くじ券が見つからない。やっと古い上着のポケットに仕舞い忘れていたのを思い出したが、その時にはクロシャールはオペラ・リリック座のテノール歌手ソプラネリに売払っていた。でミシェルがクロシャールの骨董店へ行って尋ねるとクロシャールはソプラネリから掏摸取った時計を見せて、此の時計の持主に売ったという。そこへソプラネリの訴えで警官がやって来て、ミシェルを掏摸と間違えて警察へ引張られ留置場に投込まれる。身分を証明して貰うつもりで呼んで貰ったプロスペルは上着の行方だけきくとミシェルは見たことも無い男だと証言する。プロスペルは先に富くじ券を見付けたら半分貰う約束をしたので是が非でも、先に手に入れるつもりなのだ。でミシェルは借金取り連中を呼んでやっと証明して貰って釈放された。それからオペラ・リリック座の楽屋裏で、ミシェル、プロスペル、それにクロシァールの部下大勢がソプラネリが舞台に着て出ている上着を取ろうとして大騒ぎを起す。が結局上着はミシェルとベアトリスが乗ったタクシーの屋根の上にあったのである。それと気付いて取るとクロシャールの部下が拳銃をつきつけて奪って了った。ミシェルの部屋では借金取りや近所の人達が集まって景気よくシャンパンを飲んで浮かれている。ミシェルか落胆して富くじ券は見つからない、と言おうとするところへ、クロシャールが持って来てくれたので、ミシェルは始めて陽気になった。