アブラハム渓谷

あぶらはむけいこく Vale Abraao
上映日
1994年10月29日

製作国
ポルトガル

制作年
1993
上映時間
188分

レーティング
一般映画
ジャンル
ドラマ

check解説

ギュスターヴ・フロベールの『ボヴァリー夫人』を現代ポルトガルに置き換え、美貌のエマが男たちに愛され、不倫を重ねながら、愛の真実を求めて破滅していく様を描いたドラマ。監督は、サイレント時代から映画を撮り始め、近年ようやく“挫折した愛の4部作”や『繻子の靴』などで世界的に偉大な映画監督として評価され始めたポルトガルのマノエル・デ・オリヴェイラ。製作は『フランシスカ』以降のオリヴェイラ全作品を製作し、ヴィム・ヴェンダースやアラン・タネールほかヨーロッパの主だった監督たちの信頼を一心に集めているパウロ・ブランコ。撮影はナレーションの声も兼ねているマリオ・バロッソ、編集は監督とヴァレリー・ロワズルー、美術はマリア・ジョゼ・ブランコが担当。音楽は『月の光』をテーマにした選曲でベートーヴェン、ドビュッシー、シューマンほかを、ネルソン役で出演もしているアルメイダがピアノ演奏している。主演のエマを演じるのはレオノール・シルヴェイラとセシル・サンス・デ・アルバ。シルヴェイラは『カニバイシュ』での映画デビューからオリヴェイラ映画の常連である。エマの夫を演じるのは常にオリヴェイラ作品で主演を演じてきたルイス・ミゲル・シントラ。そのほかに、ディオゴ・ドリア、フィリペ・コショフェル、イザベル・ルス、ルイ・デ・カルヴァリョなど。
映画館で観る
配信で観る
Blu-ray&DVDで観る
  • 【DVD】アブラハム渓谷

  • 【DVD】マノエル・デ・オリヴェイラ傑作選

TVで観る

ユーザーレビュー

「アブラハム渓谷」のストーリー

現代のポルトガル、ドウロ河に沿ったアブラハム渓谷にある農園の末裔であるカルロス・デ・パイヴァ(ルイス・ミゲル・シントラ)は、医者で未亡人と結婚していた。彼はある日、14歳の美しいエマ(セシル・サンス・デ・アルバ)と出会った。エマは幼い頃に母を亡くし、父親や叔母、そして若いメイドたちや洗濯女のリティニャ(イザベル・ルス)に囲まれて暮らしていたが彼女の魅力は交通事故まで起こしてしまうほどだった。数年後叔母が亡くなり弔問に訪れたカルロスは、より美しく成長していたエマ(レオノール・シルヴェイラ)に胸を衝かれる。カルロスも妻を亡くしたばかりであった。そして2人は婚約をするがエマはメイドたちに愛のない結婚と言ってはばからなかった。嫁いだエマは、夫は往診で夜遅く、一緒に働いてきたリティニャもカルロスの姉たちに盗みの疑いをかけられ去っていってしまったため孤独であった。しかしあるルミアレス夫妻(ルイス・リマ・バレート、ミシュリーヌ・ラルパン)の開いたダンス・パーティの夜からエマは様々な男たちと交わるようになっていった。パイヴァ家には娘が2人生まれるがエマは旅行家フェルナンド・オゾリオ(ディオゴ・ドリア)のヴェスヴィオ園にしばしば訪れて、浪費を重ね、快楽を求めてますます苦しみの深みにはまっていった。ヴェスヴィオ園の執事の甥、友人の息子と情事を重ねるエマ。そんなある日ヴェスヴィオ園の執事であったカイレス(ジョゼ・ピント)が訪れ、自分は今事業に成功していて投機で失敗したカルロスの助けになれる、自分はエマを長い間慕っていたのだと口説き始めた。エマは憤慨して断り、すべてを捨て去り家を出ることを決心する。エマはお互い尊敬の念を持ち続けていたリティニャに別れの挨拶をし、ヴェスヴィオ園に向かう。屋敷からオレンジ畑を通り、エマは桟橋に向かい、腐った敷石に足を取られて水死した。数日後カルロスは公園のベンチで死んでいた。

「アブラハム渓谷」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「アブラハム渓谷」のスペック

基本情報
ジャンル ドラマ
製作国 ポルトガル
製作年 1993
公開年月日 1994年10月29日
上映時間 188分
製作会社 マドラゴア・フィルムズ
配給 フランス映画社
レイティング 一般映画
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
カラー/サイズ カラー/ビスタ
音量 ドルビー

関連するキネマ旬報の記事

関連記事一覧
1994年11月上旬号 グラビア 《New Release》(新作映画紹介) アブラハム渓谷
外国映画紹介 アブラハム渓谷
1994年11月下旬号 特別企画 マノエル・デ・オリヴェイラ 世界映画“最後の巨匠”Vol.2 「アブラハム渓谷」作品評