「どぶ川学級」のストーリー
須藤は大学三年生で学費をためる目的で関東鉄工で働いていたが、同僚の桑山に誘われ、戦議中の第一組合に仲間入りした。ある日、須藤は大村委員長から組合員松田の子供でグレている明の家庭教師を頼まれた。最初は反抗的な態度をとっていた明は、母の涙ながらの頼みと、しつこく追いまわす須藤に根負けして、しぶしぶ勉強をはじめた。明には健一という仲間がいた。健一は明と須藤に惹かれるのだが、父親が第二組合員なので意地をはり、ふたりの誘いを断った。やがて夏休み。いつか須藤は十二人の生徒の先生になっていた。そして二学期。能力別にクラスをわけるという学校のやり方に怒った須藤と桑山が学校へ乗り込み、校長に抗議したことから、「組合のやっている勉強会」に地元のボスや、校長等の圧力がかかり、一人、二人と子供が減っていった。そのことを知った健一は、こだわりをすて自分から勉強会へと入った。その日から、須藤と残った七人の子供たちは秘密に勉強会をつづけていった。三学期末、須藤と子供たちの努力は実を結び、成績表は上り、秘密をうちあけられた親たちも勉強会へ通うことを認めた。勉強会は新入生を迎えて「どぶ川学級」と名付けられた。しかし、子供たちの学力が向上するにつれて、子供の利己心が顔を出し始めた。劣っている級友を馬鹿にしはじめたのである。そんな子供たちに怒った須藤はどなりちらして飛び出した。やけ酒を飲む須藤に桑山は「俺たちはここを逃げだすわけにはいかないんだ……お前がやめるんなら俺たちが“どぶ川”を立派にやってやらあ」とつきはなすのだった。須藤と子供たちの間にあった最後の垣根はとりはらわれた。「どぶ川学級」は大きく成長していった。生徒総会がひらかれた。総会はいつものように形式的に議事がすすめられていこうとした。しかし「どぶ川学級」の生徒たちは学校の教育方針や、教師たちの暴力やえこひいきに反撥した発言をし、多くの生徒たちもそれを支持した。しかし校長は、生徒会は流会、解散! と叫んで退場しようとした。それに従う教師たち。その時、山崎先生は必死に叫んだ。「生徒たちの不平、不満を聞こうではありませんか!」多くの教師に見守られ、生徒会は続行され、再び討論がつづけられていった……。