この映画を観て最大の収穫は益田喜頓に出会えた事だ。益田喜頓の記憶は、小さい頃、中山千夏がまだ子役の頃に彼と親子の設定で舞台で演じていた記憶だ。でも、ウェキおじさんはこのことを述べていないので私の記憶違いかもしれない。益田喜頓は喜劇人なんだけど、なんか哀愁漂う喜劇人という記憶で、彼が名前をもらったバスター・キートンに通じるところがあるのかもしれない。
この映画で益田喜頓は主人公で老齢で人情味のある刑事役を演じている。息子も刑事になっていて、同僚の南刑事が殺された事件を追って犯人を追い詰めていく、きちんとしたドラマだ。コメディの要素は全くない。この映画でも当時のドヤ街が撮されていて雰囲気が出ていて良い。「あしたのジョー」でも舞台はドヤ街だったよな。
日活もメインどころ以外のフィルムはまともにないのか、あるいはきちんとデジタル化する気がないのか、YouTubeの【公式】日活フィルム・アーカイブで公開した映像は画角が小さく、ブローアップをしていない。小さい画面で見たのは残念だ。もっときちんとした画面で観られたら点数も上がっていただろうに。
そうそう、ラストで情報屋が殺されて、息子の刑事が「かわいそうなことをした。」というと、父親の刑事(益田喜頓)が「仕方がないよ。拳銃を売っていたんだからね。」という台詞があるが、相手が死んでしまうとこんな事いうのか、と。人情家なんだからもっと違う台詞をつければ良かったのに。
あと、浜村純だね。この映画の頃でもう50歳を過ぎていたんだ。まさかの準主役とは思わなかったし、彼がこんな役を演じるとは。でも存在感はあった。
ところで【公式】日活フィルム・アーカイブで「ギターを持った渡り鳥」、「おヤエのママさん女中」、本作と見せてもらったんだけど、全て1959年製作だ。ずいぶん後ろの映像が違うなあ。