花真珠

はなしんじゅ
上映日
1955年8月22日

製作国
日本

制作年
1955
上映時間
83分

レーティング
ジャンル
ドラマ

check解説

川口松太郎の原作を大木弘二が脚色、「青春怪談(1955 阿部豊)」の阿部豊が監督する。撮影は「しいのみ学園」の鈴木博の担当。出演者は新人の日比野恵子(読売新聞二十七年度ミス・ニッポン)「しいのみ学園」の島崎雪子、「たそがれ酒場」の宇津井健、「下郎の首」の田崎潤などである。
映画館で観る
配信で観る
Blu-ray&DVDで観る
TVで観る

この作品のレビュー

ユーザーレビュー

  • ミャーノフ大佐

     戦後、外地から引き上げてきた男と戦中に付き合いのあった女との関係、という話はあの名作成瀬巳喜男の「浮雲」がある。この映画を観ていて「浮雲」を思い出した。もちろん「浮雲」とは比べるべくもない。「浮雲」は監督成瀬巳喜男、出演が森雅之と高嶺秀子。この映画は監督阿部豊、主演が宇津井健に新人の日比野恵子、そして島崎雪子。ちょっと格が違う。調べてみると「浮雲」の製作が1954年から1955年の始めまで、この映画が1955年。でもそれぞれ原作があって「浮雲」が林芙美子、この映画が川口松太郎なので、当時は引き揚げ者を題材とする小説や戯曲が多かったのかもしれない。
     それでも拾いものの映画だった。まだ大倉貢に乗っ取られる前だったので、ギリギリ文芸路線映画が撮れたのかな。主人公は宮家の鈴子(日比野恵子)と宮家の農場で働いていた木内(宇津井健)の恋愛、そして引き揚げ船で知り合ったお慶(島崎雪子)(宮家の妾子)との関係。そして戦中は上司で戦後は闇貿易で稼いでいる有本(田崎潤)が絡んで話が進んでいく。
     宮家とはまた大きく出たもんだなあ。戦後すぐの原作だからこんな設定に出来たんだろうなあ。で鈴子の母親役が三宅邦子とは、ダジャレ?
     戦後のストーリーは鈴子側の話と、木内側の話が並行して進んでいって、途中から絡んできて、ラストこういう終わり方か、と。各人の戦中の後始末の仕方と、そして明日への希望を与えてくれるような終わり方だ。確かにそういう人生のあり方もあるなあ、と教えてもらった。
     主演の日比野恵子は新人らしいが、新東宝らしい気の強そうな女性で、それとちょっと背が高すぎるかな。宇津井健は新東宝のエースなんだろうけど、やっぱり弱いなあ。裕次郎にはなれないなあ。新東宝は戦後10数年で潰れたから大スターがいないのが残念だ。
     朝子の得度式のシーンは、きちんとリサーチしているのだろう、丁寧に撮られている。

「花真珠」のストーリー

木内作之助の家は代々香川宮家に仕えていた植木職人だったので、作之助も農学校を卒業すると直ぐに農場技師として雇われた。この農場に、皇族方の中では一番美しいと評判の宮家の長女朝子姫が、農事研究をしながら弱い身体を鍛えるために住まわれることになった。病気のために、北見沢伯爵との御婚約も一応白紙に戻さねばならぬ姫にとって、美しいこの農園はなぐさめとなった。やがて戦争となり、姫をかばいながら猛火をくぐって退避した空襲の夜、作之助と姫の心は固く結ばれた。応召になった作之助は、敗戦で興安丸に乗って引揚げて来たが、その船上で朝子姫とよく似たお慶に会った。この頃、姫は法性院の門跡をつぐことになって居り、既に入山して作之助も会うことができなかった。その形見の小さな目覚し時計を持って茫然とする作之助の前に姿を現したのは、引揚寮でお慶と密輸を企てた有本で、彼は以前香川宮家の御用掛をつとめていた男である。有本は英語、中国語に堪能な作之助をも一味に加えようとした。姫に似ているお慶は、実は香川宮が小間使に産ませた朝子姫の異母姉だった。姫の面影を追う作之助は、お慶に惹かれ、且つ有本の甘言に乗せられて、密輸の一味に足をふみ入れて行った。やがて、密輸団の一味が検挙されたが、作之助は不正な利益の使途については一言も答えなかった。朝子姫は、作之助の蔭の人物は自分だったと、今は法躰となった身も忘れて証言した。執行猶予になった作之助は、共に悪から足を洗ったお慶と共に、断髪式の朝子に一目会おうと法性院に向ったが、逢って心を乱すよりはと、途中から引返すのだった。

「花真珠」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「花真珠」のスペック

基本情報
ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1955
公開年月日 1955年8月22日
上映時間 83分
製作会社 新東宝
レイティング
カラー/サイズ モノクロ

関連するキネマ旬報の記事

関連記事一覧
1955年8月下旬号 日本映画紹介 花真珠

今日は映画何の日?

注目記事