JLG/自画像
じーえるじぇいじがぞう JLG/JLG - Self-Portrait in December
解説
大作「映画史」などの映画監督ジャン・リュック・ゴダールが、自らを対象として世界を描こうとした、自伝でもなく、肖像でもない<自画像映画>とでもいうべき作品。ジャン・リュック・ゴダールのイニシャルであるJLGがタイトルに冠され、ゴダール自身が主人公として出演するが、ドキュメンタリーと呼ぶにはフィクションが随所に挿入され、映画、文学、哲学など様々な要素の映像と言葉が渾然となって一体化している。映画局査察官役で批評家のルイ・セガン、映画史家のベルナール・エイゼンシッツ、「新ドイツ零年」のアンドレ・S・ラバルトが出演。また音楽は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲と第七交響曲、ヒンデミットの「葬送音楽」、アルヴォ・ベルトの「ミゼーレ」が使われている。
ユーザーレビュー
「JLG/自画像」のストーリー
スイスのレマン湖畔。ゴダールが生活するここロールの自宅やアトリエ、そして幼い頃から親しんだ風景が、ゴダールの内面を示すように立ち上がってくる。少年時代を回想したり、手書きの創作ノートに書かれたアラゴンやヴィトゲンシュタイン、ディドロの一節を読み、映像で示し、歴史を、現代史を語るゴダール。音と映像の結びつきの実験が画面上に現出する。岸部を散歩するゴダールの耳に聴こえる、ロジェ・レナートの「最後の休暇」など、愛する映画作家たちの映画の音。否定すべきものを正面に見据えてこそそこにとどまると、ヘーゲルの言葉を引いて、湖畔の向こう側にあるフランスを「キングダム・オブ・フランス」と指差す。家政婦ブリジットが辞めると言ってくる。そして突然、フランスの国立映画局から査察官が立ち入り捜査にやって来る。ネガ(否定的なもの)こそ作らねばならないというカフカの言葉に続いて、盲目の女性が訪れ、編集助手を志願して来る。山奥で一人ラテン語でオウィディウスの詩を朗読する老女……。
「JLG/自画像」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「JLG/自画像」のスペック
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