「ポーリーヌ」のストーリー
知的障害をもつポーリーヌ(ドラ・ファン・デル・フルーン)は、ベルギーの小さな村で、姉のマルタと一緒に暮らしていた。ポーリーヌが愛しているのは、庭の花たちに水をやること、チョコレート・パン、地元でオペラ歌手として活躍する妹・ポーレット(アン・ペーテルセン)の経営する洋服店。そんなある日、マルタが突然倒れて死んでしまう。マルタはいつかこの日が訪れるだろうと見込んで、ポーレットともう一人の妹・セシール(ローズマリー・ベルグマンス)に遺言を残していた。“ポーリーヌと一緒に暮らし、ポーリーヌの世話をするのであれば、遺産は三等分して相続出来る”と。ポーレットは、ポーリーヌを施設に預けるつもりでいたのだが、遺産相続のために仕方なくポーリーヌと一緒に暮らすことに。ポーリーヌは、大好きなポーレットと一緒に暮らせることに大喜び。しかし、ポーリーヌの天真爛漫な言動に振り回されるポーレットの苛立ちは募るばかりだった。そんな中、ポーレットは、数日後に迫るオオペラの公演日を何よりも大事にしていた。公演当日、ポーリーヌは楽屋でポーレットの歌を聴いていたが、靴ひもがほどけているのに気がついた。自分の靴ひもを結べないポーリーヌは、ポーレットに結んでもらおうと、舞台に出てしまう。突然のポーリーヌの出現に観客は驚き会場はざわつくが、一瞬のうちに、場内は笑いに包まれる。この一件でポーレットの怒りと我慢は限界を超え、ポーリーヌを末妹のセシールの元に強引に預けてしまう。恋人と一緒にブリュッセルで暮らすセシールは、花の祭典“フラワー・カーペット”にポーリーヌを連れて行く。そしてポーリーヌの大好きな曲“花のワルツ”を奏でるオルガールも買ってくれた。しかし、セシールの同棲中の恋人アルベールは、都会的な生活をポーリーヌに乱されて不機嫌になってしまう。アルベールの不機嫌な態度を敏感に感じとったポーリーヌは、セシールに黙って家出をしてしまう……。