「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」のストーリー
1943年、ミュンヘン。ヒトラー独裁政権は末期的な局面を迎え、人々はスターリングラードでのドイツ軍大敗の噂をしながら明日に怯えていた。そんな中、ヒトラーの政策を批判し、戦争終結を叫ぶ地下組織的なグループが存在した。彼らは“白バラ”と呼ばれ、ビラを配り、壁に「打倒・ヒトラー」のスローガンを書く非暴力的なレジスタンス活動を繰り返していた。兄のハンス(ファビアン・ヒンリヒス)と共に白バラに参加していたゾフィー・ショル(ユリア・イェンチ)は、その日も白バラのメンバーのいる秘密の印刷所に向かった。そこでは次に配布するビラが作られており、ハンスがミュンヘン大学構内に配置すると言い出した。仲間は彼を止めるが、結局、ハンスとゾフィーのコンビで決行することになった。翌日2月18日、彼らは授業中のひと気のない大学構内の数ヶ所に、ビラを積み置きした。最後の余ったビラをゾフィーが階上からばら撒いたとき、終業のベルが鳴り、多くの学生が教室からあふれ出した。群集に混じって逃げようとする二人は用務員の通告でゲシュタポに逮捕された。取調べが開始され、長いキャリアを持つベテラン尋問官モーア(アレクサンダー・ヘルト)がゾフィーの担当になる。翌日、ビラの草稿を書いた疑いで仲間のクリストフ(フロリアン・シュテッター)が逮捕された。ゾフィーは恐怖を押し殺し、冷静さを必死で装いながら、自分が無実であることを説得する。その心理的駆け引きの巧みさに一時は彼女の無実を信じかけたモーアだったが、やがて動かぬ証拠が自宅から発見される。罪を逃れられないことを悟ったゾフィーは、一転して反撃に出る。自分は信念によって行動し、それを誇りに思っていると。同じ年頃の息子を東の前線に送り出していたモーアは、ゾフィーに心を動かされる。彼は仲間の情報提供と引き換えに、ゾフィーに逃げ道を用意する。しかしゾフィーはその申し出を拒否し、処刑の道を選ぶのだった。