「ボンボン(2004)」のストーリー
フアン・ビジェガス(フアン・ビジェガス)はツイてない男だ。パタゴニアの寂れた道路沿いのガソリンスタンドで二十年も働いてきたが、ある日突然、ガソリンスタンドが売却され、オーナーが変わるとあっけなくクビにされてしまったのだ。少しでも金を稼ごうと、趣味が高じた手彫りの柄のナイフを作って商売するが、さっぱり売れない。たいした技術も、財産もない初老の男に世間の風は冷たかった。フアンは住まいも無くし、娘夫婦の家に身を寄せたが、娘も自分の生活で精一杯で、フアンは厄介物でしかなかった。そんなある日、道ばたで車が立ち往生して困っている女性を助け、家まで送り届けてやると、そのお礼に大きな白い犬をもらうことになった。その犬はドゴ アルヘンティーノという血統書付きの素晴らしいもので、犬は心の友にもなるからと半ば強引に押しつけられてしまったのだ。フアンにはお金の方がありがたかったし、自分の食い扶持すらないのに、と思うのだが、やはり断ることは出来なかった。彼女の家はとても立派だが、男手もなくこれからの生計を母娘だけでたてて行くには不安そうに見えた。フアンは仕方なくその犬・ボンボンを助手席に乗せて家路につくが、不思議と少し心が温かくなった。ボンボンも心なしか嬉しそうに見える。しかし家に着くと大ブーイングが待っていた。居づらい家がいよいよ居づらくなってしまった。だがその一方で、少しずつフアンの運命は好転し始めるのだった。