解説
美しい棚田がどこまでも続き緑あふれる雲南省の農村。貧しい暮らしにもかかわらず、知的障がいを持つ桜桃と足の不自由な葛望という義理の両親の愛に恵まれ、すくすくと成長していく少女・紅紅。悲しい時、さみしい時、いつも彼女のそばにいたのは心優しい母・桜桃だった。その温もりは、母が愛するさくらんぼの甘さのようにやさしい。しかし、成長するにしたがい、紅紅は母のやさしさを疎ましく思うようになっていく…。現代では失われつつある親子の絆が深まっていく軌跡を通して、少女が自立し、成長していく姿をさわやかに描いた感動作。監督は「歌舞伎町案内人」「陶器人形」のチャン・ジャーベイ。脚本はベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いた『初恋のきた道』のパオ・シー。そして、「鳳凰 わが愛」のヒロインを演じ中国四大女優の一人と言われるミャオ・プゥが、身振り手振りで感情を表現するという難しい演技に挑戦。この熱演により第17回永楽杯・上海映画批評家大賞の最優秀主演女優賞に輝いた。この他、上海、四川、北京、香港などから多くのスタッフが参加。言葉や国の違いを乗り越え、観る者に清冽な感動を呼び起こさせる作品に仕上げた。
ユーザーレビュー
「さくらんぼ 母ときた道」のストーリー
1980年代の中国、美しい棚田がどこまでも続く、豊かな自然に抱かれた雲南省の農村。知的障がいを持つ桜桃(インタウ/ミャオ・プゥ)は、足の不自由な葛望(グォワン/トゥオ・グゥオチュアン)と結婚した。桜桃と葛望は、養鶏や養豚で細々と生計を立て、暮らしは貧しかったが、互いを思いやり、支えあいながら暮らしていた。ある夜、ささいなことで桜桃に腹を立てた葛望は、彼女を家から追い出してしまう。暗い道をさまよい歩く桜桃は、泣いている赤ん坊をみつけた。家に連れ帰った赤ん坊は紅紅(ホンホン)と名付けられた。その日から、子どもが欲しかった桜桃の生活の中心は、紅紅になった。妻が赤ん坊に夢中になったことへの寂しさや生活の苦しさも手伝い、ある日、葛望は桜桃に内緒で娘をよその夫婦にあげてしまう。あまりのショックで呆然としたまま、桜桃は町まで娘を探しにでかけた。ふらふらになり服もぼろぼろのまま、紅紅の姿を求める桜桃。心配して探しに出た葛望は、そんな妻に根負けして、紅紅を取り戻すことにした。こうして、再び母と子、家族の幸せな生活が始まった…。何をするのも母と一緒、豚を散歩に連れていくのも、鶏に餌をやるときも、いつも母の後をついて回った。さくらんぼの木によじ登って、紅紅に甘い実を採る母。それは、紅紅にとって大切な母との、忘れられない思い出となった。成長し、小学校に通うようになった頃から紅紅は、自分の母が他のお母さんとは違うらしい、そして皆からバカにされているようだと感じ始める。そしてそんな母を恥ずかしいと感じるようになっていった。授業中、勉強する成長した娘の姿をうれしそうに窓の外からじっと見つめる桜桃。母に気づいた同級生たちが、紅紅をはやし立てる。皆と違う母が恥ずかしく、母に邪険な態度をとってしまう紅紅。いつでも母の後をついてまわった子ども時代が終わりを告げていた。ある日、紅紅は高熱で病院に担ぎ込まれた。そんな娘を励まそうと、桜桃は山からさくらんぼを採って持って行く。母の採ってきてくれた、甘い甘いさくらんぼ。一口含んだとき、紅紅の心に今までの母とのやさしい思い出が甦った。そして母を恥じたことへの後悔とともに感謝の気持ちで心が満たされた。紅紅は静かに大人への一歩を歩み出す。間もなく紅紅の誕生日がやってきた。娘のためにさくらんぼを採りに出かけた母。しかしその日、母は帰って来なかった…。
「さくらんぼ 母ときた道」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「さくらんぼ 母ときた道」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | 日本 中国 |
製作年 | 2007 |
公開年月日 | 2008年11月1日 |
上映時間 | 107分 |
製作会社 | 「さくらんぼ 母ときた道」製作委員会(上海電影集団公司=上海電影制片厂=四川騰竜影業有限公司) |
配給 | ザナドゥー |
レイティング | |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
音量 | ドルビーSRD |