「アイガー北壁」のストーリー
ベルリン五輪を間近に控えた1936年ドイツ。ナチスは国家の優位性を世界に誇示するため、アルプスの名峰アイガー北壁のドイツ人初登頂を強く望み、成功者にはオリンピック金メダルの授与を約束する。山岳猟兵のトニー・クルツ(ベンノ・フュルマン)とアンディ・ヒンターシュトイサー(フロリアン・ル-カス)は、難攻不落の山々を次々と踏破し、優秀な登山家として知られ始めていた。二人は世間の盛り上がりに戸惑いながらも《殺人の壁》と恐れられていたアイガー北壁への挑戦を決意する。7月14日。麓には、初登頂を目指す各国からの登山家や、世紀の瞬間を見届けようとする報道関係者、見物客が集まってきていた。その中にはトニーのかつての恋人でベルリン新聞社の記者、ルイーゼ・フェルナー(ヨハンナ・ヴォカレク)の姿もあった。7月18日。絶好のコンディションと判断したトニーとアンディは登攀を開始。彼らのすぐ後をオーストリア隊のヴィリー・アンゲラー(ジーモン・シュヴァルツ)とエディ・ライナー(ゲオルク・フリードリヒ)が追った。だが、間隔を開けずに登っていたために、ヴィリーが落石に遭い、大怪我を負ってしまう。その晩、4人は高度3100メートル地点で1回目のビバーク。彼らの驚くべき快進撃に、山麓の宿泊客たちは明日にでも初登攀達成かと期待に胸を膨らませる。7月19日。夕方には高度3350メートルに達するが、ヴィリーは既に登ることが不可能なほどの容態になっていた。2回目のビバークを経て、4人は登攀中止を決定。ヴィリーをザイルで下ろしながら、下山を始める。7月20日。天候が急激に悪化、3回目のビバーク。7月21日。下山途中の彼らに、突然雪崩が押し寄せる。エディは岩壁に頭を強く打ちつけて気絶、アンディとヴィリーも宙に吊り下げられた状態で気を失ってしまう。朦朧とする意識の中、アンディはトニーを守るために自らザイルを切断する……。