解説
ニューヨーク市警察に根強くはびこっている腐敗、汚職にたった1人で挑戦した正義の男“セルピコ”の苦難の物語。製作はマーティン・ブレッグマン、監督はシドニー・ルメット、ピーター・マースの原作をウォルド・ソルトとノーマン・ウェクスラーが脚本化、撮影はアーサー・J・オーニッツ、音楽はミキス・テオドラキスが各々担当。出演はアル・パチーノ、ジョン・ランドルフ、ジャック・キホー、ビフ・マクガイア、バーバラ・イーダ・ヤング、コーネリア・シャープ、トニー・ロバーツ、エド・グローバーなど。
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「セルピコ」のストーリー
1971年2月、ニューヨーク市警の警官フランク・セルピコ(アル・パチーノ)が重傷を負ってグリーンポイント病院に担ぎこまれた。地区総監グリーン(ジョン・ランドルフ)は早速彼の病室に24時間の警戒態勢をを引かせた。これより11年前、セルピコは希望と使命感に燃えて警察学校を卒業した。82分署に配属され、はりきって勤務についたが理想と現実のギャップはみるまに彼の内部で広がっていった。潔癖なセルピコには日常茶飯事として行なわれていた同僚たちの収賄、さぼりなどが耐えがたいものに感じられた。犯罪情報課勤務に変わって、彼は向上心の満足と息ぬきをかねてニューヨーク大学へ勉強に行くようになり、そこで会ったレズリー(コーネリア・シャープ)というバレー・ダンサーと知り合い、やがて同棲するようになった。私服刑事になるための訓練を受け始めた彼は、ブレア(トニー・ロバーツ)というプリンストン大学出の同僚と仲良くなった。訓練が終わると、2人は私服刑事として、セルピコは93分署に、ブレアはニューヨーク市長の調査部に配属されることになった。ブレアにいわせるとこれは2人の性格にピッタリの配属だということになる。セルピコは町に、そしてブレアは政治に大きな関心を寄せていた。配属された最初の日、セルピコは何者かにワイロの分け前を渡された。ブレアに相談し、調査部長に報告したが、部長はただ忘れてしまえと忠告するだけだった。それと同じくして私生活の面でもレズリーを失った。失意のセルピコは再びマクレインに会い、ブロンクスの第7地区に勤務を変えてもらうが、ここの事態はさらに酷いものだった。前の分署で顔見知りだったキーオ(ジャック・キホー)という男が、セルピコに、ここの分け前は今まででも最高だと耳打ちした。彼が受け持たされたのは、ルベルという同僚とワイロ回収の仕事だったが、どうしても金をうけとろうとしないセルピコの立場は徐々に孤立せざるを得なかった。ブレアとセルピコは、市長の右腕として働いていたバーマンに実情を訴えたが、この夏には暴動がおこる公算があり、市長としても警察と対決するわけにはいかないという理由でとりあげてもらえなかった。セルピコは窮地に立たされ新しい恋人ローリー(バーバラ・イーダ・ヤング)とも衝突、喧嘩別れしてしまった。地区中から異端者扱いされている彼は、第8分署に転任することになったが、彼を相棒として引き受けてくれる者は誰一人としていなかった。そんな彼に手を差し伸べたのは、警視のロンバートただ1人だった。ブレアやロンバートの応援で、ついに意を決したセルピコが汚職の実態をニューヨーク・タイムスにぶちまけた。このニュースでニューヨーク中が蜂の巣をつついたような騒ぎになった。しかしセルピコはデラニー総監によって、市で最も危険なブルックリンの麻薬地帯に転勤を命じられてしまう。ある日、数人の同僚とともに麻薬犯逮捕に出勤した彼は、同僚から故意に助けを受けられず、重傷を負う。命がけでなぜあんなことをしたのかというグリーンの問いに、セルピコは答えた。自分自身のためだった、と。その後、彼は市警の汚職の実情を証言したのち退職し、今は傷痍年金を受け、スイスに住んでいる
「セルピコ」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「セルピコ」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1973 |
公開年月日 | 1974年7月13日 |
上映時間 | 125分 |
製作会社 | ディノ・デ・ライレンティス・フィルム作品 |
配給 | パラマウント映画=CIC |
レイティング | |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
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