「チザム」のストーリー
時は1878年。ニューメキシコに広大な牧畜王国を築き、“ペコスの王者”とあだ名されるジョン・シンプソン・チザム(ジョン・ウェイン)は、その日、相棒のペパー(ベン・ジョンソン)とともに、東部からやってくる姪のサリー(パメラ・マクマイラー)を駅馬車の駅で待っていた。その留守を狙ってか、牧場はメキシコの盗賊たちにおそわれた。そうとは知らぬチザムは、町で新興勢力の中心人物ローレンス・マーフィー(フォレスト・タッカー)と会っていた。マーフィーは以前からこの辺りに目をつけていて、数々の悪辣な手段をもって、縄張りの拡大を続けていた。盗賊を追って、チザムが英人牧場主タンストール(パトリック・ノウルズ)、ビリー・ザ・キッドの異名をとるボニー(ジョフリー・デュエル)たちと遠出した後で、マーフィーの弁護士マクスイーン(アンドリュー・プライン)と妻スー(リンダ・デイ)たちと同じ駅馬車でサリーが到着した。その夜パーティーが開かれ、彼女は若いビリーに心をうばわれたが、チザムはそれを許さなかった。その後、パット・ギャレット(グレン・コーベット)という男が町に入って来た。また、マクスイーン弁護士は、悪徳保安官たちとぐるになって無法を働くマーフィ一派に愛想をつかし、チザム側に身を投じた。その頃、チザムの使いに出たビリーが、エバンス(リチャード・ジャッケル)に襲われ、傷ついた。サリーは一睡もせず、彼を看病した。悪どい妨害に怒ったタンストールは、州知事に直訴に向かったが、その途中で殺されてしまった。チザムはさっそく犯人の保安官助手2人をとらえ、裁判にかけようとしたが、復讐心にはやるビリーは助手と保安官のブラディを射殺し、山中に逃げ込んでしまった。マーフィはまた、悪知恵を働かし、殺し屋のノディーン(クリストファー・ジョージ)を保安官に任命、ビリーの逮捕を命じた。サリーはようやくビリーの狂暴な血をさとり、ギャレットに心魅かれていった。一方、ビリーは仲間と強盗に押入り、ノディーンと対決した。マクスイーン夫人はこの急を告げるべくチザムの家へ走ったが、この銃撃戦の中で、夫はノディーンの銃弾に倒れた。建物にとじこもったビリーたちを引きずり出すため、マーフィは町に火を放った。その紅蓮の炎の中へ、チザムは牛の大群を暴走させて乗り込んできた。戦いはクライマックスに達した。チザムは逃げるマーフィの息の根をとめ、ビリーも宿敵のエバンスを倒した。戦いは終わったが、血に狂ったビリーは、ギャレット新保安官の制止もきかず、ノディーンを追って町を去った。硝煙と血の匂いのただよう町。チザムはその町を見おろすように、ひとり丘の上に立っていた。(ワーナー配給*1時間51分)